気軽にあの味を再現ドイツ食材活用術
日本やアジアのあの料理が食べたい! でも材料がない……とすぐに諦めることなかれ。実はドイツで手に入る食材で、気軽に「食べたい味」が再現できることをご存じだろうか? 今回は、弊誌連載「簡単おいしいレシピ」のライターである坪井由美子さんの新刊出版を記念して、あっと驚く便利食材と共にこれまで反響のあった人気レシピをご紹介する。(Text:編集部)
雑穀ミックスの代わりにミューズリー(Müsli)
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押し麦(Graupe)、アマランサス(Amaranthus)、小豆(Adzukibohne)、かぼちゃの種(Kürbiskern)……など、ドイツのスーパーの棚にはさまざまな穀物が並んでいる。お好みの穀物と白米を混ぜて炊くと、あらびっくり、栄養たっぷりの雑穀ごはんの出来上がり! 坪井さんのおすすめは、数種類の穀物がミックスされたミューズリー。牛乳や果物などと一緒にいただく朝食の定番だが、甘くないタイプは雑穀米を作るのにぴったりだ。
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練りごまの代わりにタヒニ(Tahina)
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ごまダレなどの和食レシピで練りごまを使いたいときに重宝するのが、フムス(ひよこ豆をペースト状にしたもの)をはじめとした中東料理に欠かせないタヒニ。練りごまは炒ったごまをすり潰したものだが、タヒニは生のごまをペースト状にしており、風味はピーナツバターに近い。栄養価が高く美容にも良いといわれ、日本でもローフードとして人気がある。ドイツでは、トルコ・中東系食料品店やスーパーなどで売られている。
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サバの切り身の代わりにサバ缶(Makrele)
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魚介類の缶詰コーナーで見つけることのできるサバ缶は、価格は2ユーロ前後で、時短料理の強い味方。水煮とオイル煮の2種類があるので、作る料理に合わせて選ぼう。和食に使うなら、汁ごと調理できてうまみがアップする水煮がおすすめ。サバにはDHAやカルシウムなどの栄養素が豊富に含まれるため、美容と健康にも◎。台所に常備しておけば、急に魚料理が恋しくなったときも安心だ。
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ユッケの代わりにタルタル肉(Tatar)
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タルタル肉とは、生食用の牛ひき肉のこと。日本ではなかなか食べられなくなってしまった生肉を、ドイツでは家庭でも楽しむことができる。精肉店で注文するとその場でミンチにしてくれ、価格は100グラムでおよそ3ユーロ。「鮮度が命!」なので、評判の良いお店で購入するようにして、必ずその日のうちに食すようにしよう。またネギトロの代わりにもなるので、丼やお寿司にして食べるのもおすすめ。
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在欧手抜き料理帖ヨーロッパの食材で作るかんたん日本食と各国料理
こんなに簡単なのに、こんなにおいしくていいの? 坪井さんの目からうろこのレシピは、生粋の食いしん坊精神がベースになっている。食材が手に入らないなら工夫して作ればいい、という気持ちから自炊を始めて早十数年。本書には、これまでのドイツ生活でたびたび作ってきた83品のレシピが収められている。和食やアジア料理のほか、ドイツ、フランス、イタリア、ベルギーの欧州料理も掲載。さらに、ドイツの食文化が見える書き下ろしコラムも。おいしいものを食べて元気を出したい、というコロナ禍の今だからこそ、そばに置いておきたいレシピ本だ。
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