Architekturführer Tokio
ウルフ・マイヤー Ulf Meyer
Dom Publishers
ISBN: 978-3-938666-60-9
外国に住むと、改めて日本の魅力に気付かされることがある。東京の建築にスポットを当てた本書「Architekturführer Tokio (建築物ガイド・東京)」では、今まで見えなかった「日本の良さ」を再発見できるに違いない。
ドイツで建築家として活躍する著者ウルフ・マイヤー氏は、2001~02年に奨学生として東京に滞在。都内各地を隈なく散策し、スタイリッシュなものから日本の伝統様式で建てられたものまで、様々な建築物に巡り会い、刺激を受けた。東京が、"建築デザイン"や"都市計画"と密接な関わりを持っていることに着目したマイヤー氏は、建築という視点から大好きな日本をドイツに伝えたいと、本書を上梓したのである。
ガイドブックらしいフォルムに、真っ赤な冊子が印象的な本書のページをめくってみる。東京の各区に綺麗に色分けされた目次を眺めると、都内にある数々の建築物が、安藤忠雄や丹下健三など、いかに多くの著名な建築家によって手掛けられているかに驚く。
ドイツ人向けに発行された本書だが、日本人でもワクワクしながら読める1冊。ドイツ語が得意な方は、各建築物のドイツ語紹介文から、知られざる建築エピソードを見付けられるだろうし、ドイツ語が苦手という方でも、各建築物の写真と建築家の名前を照らし合わせながら、「あぁ、これはかの有名な建築家の設計か!」「ここにこんな斬新なデザインの建物があったのか」など、図鑑のように眺めて楽しめる。本書に登場する各建築物には番号が振られており、本書末尾の索引ページに並ぶ建築物名や地図から、お目当ての建築物を簡単に検索できるのも嬉しい。
ページをめくるごとに、実は東京はこんなにも多くの芸術に溢れた街だということに改めて気付かされる本書。大都会の街並み、そして自然と一体化し、悠然と建ち並ぶ建築作品の数々に、建築家の熱い情熱と誇りがうかがえる。「東京・建築物巡りツアー」なんていう真新しい視点で、日本が誇る首都・東京を、違った角度で眺めてみるのも悪くない。(浅)