ジャパンダイジェスト

明日の世界を垣間見る 世界最大規模のIT関連見本市 CeBIT 2017 2017年3月20日(月)~24日(金)in Hannover

繋がる情報が、世界を動かす!今世紀のデジタル化の波は、生産ラインの効率アップといったビジネス・ソリューションにとどまらず、社会や経済のモデル、人々のライフスタイルを根本から変えようとしている。私たちの未来はどこへ向かうのか、期待と不安の入り混じる来場者の目に、最先端技術が世界中から集うCeBITが様々な未来予想図を見せてくれる。

Text: Megumi Takahashi、取材協力:日本貿易振興機構(JETRO)
Alle Fotos von „Deutsche Messe AG"

場所:Deutsche Messe AG
住所:Messegelände, 30521 Hannover
時間:9:00~18:00
入場券:5日間通し券61ユーロ(事前購入56ユーロ) 1日券26ユーロ

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CeBIT に行ってみよう!
来場前に知っておくべき 8つのキーワード

1 CeBIT セビット
コンピューターの見本市からデジタル化のショーケースに

オフィスオートメーション、IT、情報通信・センター(Centrum für Büroautomation, Informationstechnologie und Telekommunikation)、略して「CeBIT」! 

世界最大の産業見本市ハノーバーメッセの展示カテゴリーの一つとして1970年に誕生し、1986年に分離、独立したCeBIT。Windows 95が世に出た1995年にはビル・ゲイツも来場、訪問者数75万人を記録した。PCやインターネットが一般市民に普及すると、2000年前後のIT革命の追い風も受けて成長。ソニーがPlaystationを発表するなど、家庭用ゲーム機のプレゼンテーションの場でもある。2015年以降は、デジタル化とエコノミーをつなげた造語「d!conomy」が掲げられ、社会と経済のデジタル化の行方を見定め、IoT(モノのインターネット)の実例を披露する場として注目を集めている。

ベルリンから連邦首相が駆けつけてパートナー国との首脳会談を行うことが通例となっていることもあり、世界各国のメディアが駆けつける注目度ナンバーワンの見本市でもある。昨年は、世界約70の国や地域から、約3300社が出展、100カ国から約20万人が来場した。

2017年のテーマは、「d!conomy – no limits」。「no limits」という言葉には、業界や国の境界を超え、人と機械の関係を見直すデジタル化の領域の広大さと、いよいよ先端技術が実用化され私たちの生活に無限の可能性を与える、という意味が込められている。

2Japan Pavilion ジャパン・パビリオン
初参加にして、最大規模! ホール4・12

今年、CeBITのパートナー国として初めて参加する日本は、7200㎡もの広大なジャパン・パビリオンを形成する。これはCeBIT史上最大の面積で、総勢118もの企業や団体、地方自治体が日本から出展予定。また、約半数が中小企業で、海外市場に初挑戦する企業が含まれていることから、デジタル化においては企業の大小を問わずグローバルな視点が欠かせないことを再認識させられる。

コンセプト

新しい世界へ
Create a New World with Japan!
– Society5.0, Another Perspective-

新しい世界へ

「日本と一緒に新しい世界を作ろう!」と呼びかけるジャパン・パビリオン。世界に先駆けた「超スマート社会を目指す取り組み(Society 5.0)」※の実現を目指す日本ならではの、ユニークな技術と発想力を存分にアピールする場となる。医療・福祉、農業、建設、製造の現場から、音楽、ゲームまで、幅広い領域の技術(センシング技術、生体認証技術、ウェアラブル機器、コミュニケーションロボット、アシストスーツ、パーソナルモビリティー、ドローン、自動運転システムなど)に注目!
※1狩猟社会、2農耕社会、3工業社会、4情報社会に続くような新たな社会

パートナー国
日本を世界にアピールするチャンス!

日本を世界にアピールするチャンス!

パートナー国制度とは、特定の国に焦点を当て、その国の特徴的な技術や製品のみならず、国としての特徴や戦略を世界に向けて発信できる場。会期中は、各所に日本の国旗がはためき、様々な角度から日本が注目を浴びる。

ドイツメッセの理事、オリバー・フレーゼ氏が、「デジタル技術の中心的な展示会として、IoT(モノのインターネット)やデジタル化の先駆的存在である日本をCeBITのパートナー国として迎えられるのは喜ばしいこと」と期待を寄せるように、世界的に見ても日本のデジタル・コンテンツ市場の規模と多様性はトップレベル。

日本がパートナー国に選ばれた経緯は、2016年4月に日独が「IoTおよびインダストリー4.0に関する6項目の覚書」を締結し、翌5月に開催されたベルリンでの日独首脳会談で、アンゲラ・メルケル首相からのパートナー国への招待を受け、安倍晋三首相が快諾。3月19日には、両首相がそろってハノーファー入りし、日独首脳会談が開催される予定だ。安倍首相は、2007年に「ハノーバーメッセ」のパートナー国を務めた際も、同見本市会場を訪れているため、実現すれば二度目となる。また、2017年は、日独間の外交関係が樹立してから155年周年という節目の年でもある。

ジャパン・パビリオンを形成する3つのゾーン

1. Life Office Society
家庭における消費者としての生活、オフィスにおける働き方、街角での購買や食事などの消費体験を、質的に変えていける商品やサービス。また、同分野における事業者向けのシステムやサービスを集めたゾーン。
企業例:自動車会社、IT企業、情報やメディアを扱う企業など
67社・団体/ホール4

2. Infrastructure Factory
エネルギー供給や輸送、伝送などの仕組み、様々な物資を開発し生み出すスマート・ファクトリー、様々な社会的課題の解決を支える活動。イノベーションを促すシステムやサービスを集めたゾーン。
企業例:ドローン、ロボットなどを開発する企業など
35社・団体/ホール12

3. Element
上記2つのゾーンにおける変化を可能にするデバイスや素子、基礎技術などを集めたゾーン。
企業例:半導体、センサ、情報収集・解析に取り組む企業など
16社/ホール4

日本が参加する主なイベント

CeBIT Japan Summit
3月20日(月)11:00~13:00

日独の政府や閣僚、先駆的なIT企業の代表者が参加し、情報技術分野での協力の強化、未来指向の提携可能性について話し合う場。
ホール8 / サクラ・ステージ

CeBIT Global Conferences
3月20日(月)~24日(火)10:00~18:00

連日行われるグローバル・カンファレンスはCeBITのメインイベント。日本からは、遠隔操作型アンドロイドの開発で知られるロボット工学者で大阪大学教授の石黒浩氏、セイコーエプソン代表取締役社長の碓井稔氏、コニカミノルタ株式会社取締役代表執行役社長の山名昌衛氏、日系米国人企業家シマダケイ氏が登壇予定。
ホール8

3Drone ドローン
デジタル化時代の空の産業革命 ホール17

Drone ドローン

「ネットでワンクリック注文すると、30分後には玄関先までドローンが商品を届けてくれる!」そんな時代が、すでに到来している。英国でアマゾンが昨年末に実用化をスタートしたドローン配送サービス「Prime Air」をはじめ、産業用ドローンが世界各地でデビューしているのだ。流通や配送だけでなく、公共サービスや治安維持、建築、農業などの分野で革新的なビジネスモデルを生み出す可能性を秘めている無人航空機「ドローン」は、空から産業革命を起こす。消費者向けラジコンの延長だったレベルから、今年は用途別の産業用ドローンの開発が益々加速するとみられている。昨年のCeBITでは、パートナー国であったスイスがハイブリッドドローンを披露したほか、ドローンをテーマとした新企画「DRONEMAS TERS Summit@CeBIT」を開催。 ドローンの最新動向をキャッチできる見本市として、一躍注目を浴びた。

今年は2400㎡の、「無人システム&ソリューション」の展示ホールに、ドローン用の競技トラックが設けられ、各社自慢のドローンがデモ飛行、展示される。同会場では、ドローンや無人システムの安全性の維持、産業利用の際に各国で考えられる規制の問題など議論されるカンファレンスが、連日開催される。

4Humanoid 人型ロボット
その存在自体が議論の的に ホール8

Humanoid 人型ロボット日本は、「ロボット密度(労働者1万人あたりのロボット数)」において、世界2位の211体(1位は韓国、3位ドイツ)。昨年のCeBITでも活躍したヒューマノイドロボットPepper、長崎県のハウステンボスにあるロボットホテル「変なホテル」をはじめ、製造業、介護や医療の現場で実用化が進むロボット産業で、最先端を走っている。自分にそっくりに作った「ジェミノイド」開発で世界的に著名なロボット工学者、大阪大学教授の石黒浩氏は、3月21日のグローバル・カンファレンスの特別ゲストとして、人間とロボットの未来を語る。

まさにこの点において欧州は、一度立ち止まり、ロボットと人間の境界、ロボットの権利について検討を始めている。1月12日には、欧州議会の法務委員会が、倫理的で安全なロボットを設計するための法的な枠組みについての提案を合意。映画『ターミネーター』のような悲劇を未然に防ぐためのプランを立てている。そこには、ロボットは愛着を感じすぎないよう、機械であることがはっきり分かるようなデザインにすべし、設計者はロボットに緊急時用の「キル・スイッチ」を付けるべし、といったことも盛り込まれている。日本の、親近感を抱かせる人型ロボット開発と、間逆の路線を進む。今回のCeBITでは、ロボットが人間の生活のあらゆる場面で不可欠な存在となることが垣間見られる。

5VR/AR 仮想/拡張現実
ゲームの世界を超え、ビジネス利用へ ホール17

VR/AR 仮想/拡張現実

CeBIT2017にIT業界における最大のトレンドの一つ、仮想/拡張現実(VR/AR)に関する新たな展示エリアが誕生! 昨年、大流行したポケモンGOで活用された拡張現実(オーグメンテッド・リアリティ=AR)。そして、専用ゴーグルを装着して仮想世界を体験する仮想現実(バーチャル・リアリティ=VR)。今年は、旅行プランを疑似体験したり、ホテルの内装をVRで再現したり、旅行や不動産、エンタメ、製造の現場など、幅広い分野での利用が進むと予想されている。

6Chatbots チャットボット
世論を形成するのは誰?情報戦の新時代に ホール5

Chatbots チャットボット

米大統領選で、チャットボットの大半がトランプ氏支持のために言葉を発し続け、有権者に影響を与えたとされるニュースが世界を震撼させた。秋に連邦議会選挙を控えるドイツも、この新時代の情報戦に警戒心を強めている。英語の「チャット」と、ロボットの略語「ボット」を組み合わせたチャットボットは、人工知能(AI)の急速な進化を受けて回答の精度を上げ、今後は、条件の良いフライトの予約、レストラン探し、ショッピングのお供として活用が期待されている。

7Autonomes Fahren 自動運転車
10年後は当たり前に? ホール17

Autonomes Fahren 自動運転車

現在、乗用車を運転するのは人間だが、5~10年後には人間は自動制御機能を利用しながら自動車に乗り、将来的には完全自動運転の世界が待っていると研究者は予言する。事故のリスク、運転手のコンディションや経験に左右されない安全で快適な移動手段となるか。CeBITへ出展するトヨタ自動車や日産自動車はもちろん、世界の自動車産業が自動運転車の実用化に向けて技術開発に注力している。会場では、スイスのSwiss PostAuto社の自動運転バスに試乗できる!

8Cyber Security サイバーセキュリティー
デジタル化時代のプライバシー保護 ホール6

サイバーセキュリティー

どんなに優れた技術も、優秀なAIも、サイバー攻撃からシステムや社会、個人を守るためのセキュリティー対策なしには、百害あって一利なし。デジタル化社会は、データの盗難や詐欺、サイバー・プロパガンダ(宣伝工作)の被害と隣り合わせだということを、ユーザー自身が知っておく必要がある。会場では、約300機関がセキュリティーに特化した展示を行い、講演会では米国政府の監視システムを告発した元CIA局員エドワード・スノーデン氏もビデオ出演する!

 
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