ドイツを味わい尽くそう! ソーセージ&ハム事典
ジャガイモやパン、ビールとともにドイツで愛されている食材、ソーセージとハム。特にソーセージは約1500ものバリエーションがあると言われており、地域に根付いた品種が数多く揃うのも特徴だ。ドイツで暮らしているからこそ知っておきたい・味わいたいソーセージとハムの世界をご堪能あれ。 (Text:編集部)
ソーセージ Wurst
大きく分けて加熱ソーセージ、ドライソーセージ、調理ソーセージの3つのカテゴリーがある。それぞれの美味しい食べ方も知って、お気に入りのソーセージを見つけてみて。
加熱ソーセージ Brühwurst
茹でるを意味する「brühen」の文字通り、豚肉や牛肉を原料に煮る・焼くなど加熱して作る ソーセージのこと。ソーセージのタイプの中で一番種類が多く、地域色も豊か。
フランクフルト
Frankfurter Würstchen
地域:フランクフルト
別名:Wiener Würstchen
日本人に馴染み深い、長さ15~20㎝の細長いソーセージ。パリッとした噛み応えが特徴。
美味しい食べ方
80度のお湯で8分煮る。マスタードを付けて。
白ソーセージ
Weißwurst
地域:ミュンヘン
別名:Münchner Weißwurst
仔牛肉と豚の脂身にハーブや香辛料を混ぜて作る。鮮度が命の柔らかいソーセージ。
美味しい食べ方
ボイルした後、皮を剥き、甘いマスタード(Süßer Senf)を付けて。
ボックヴルスト
Bockwurst
地域:ベルリン
別名:Knobländer, Rote Wurst
ベルリン発祥の粗びきソーセージ。ボックビールと一緒に食べることからこの名がついた。
美味しい食べ方
食べる前にさっとボイルする。シンプルにブロートヒェンに挟んで。
ビアヴルスト
Bierwurst
別名:Blasenwurst、Bierkugel
粗びきの肉に香辛料が効いた太いサラミのようなソーセージ。名前はビールに合うことに由来。
美味しい食べ方
少し分厚めに切り、パンとビールといただくのがバイエルン風。
レバーケーゼ
Leberkäse
地域:バイエルン州
別名:Fleischkäse
豚肉や仔牛肉を脂身、玉ねぎ、香辛料などと練り合わせ、腸詰ではなくローフ型で焼いて作る。
美味しい食べ方
厚切りにして、マスタードを添えて。
ビアシンケン
Bierschinken
別名:Schinkenwurst、Krakauer
塩漬けにした豚肉と脂身を混ぜ合わせて作る。「ブリューヴルストの王様」とも。
美味しい食べ方
そのまま食べても、パンに載せても。
ミートソーセージ
Fleischwurst
別名:Lyoner
細かくひいた肉片と脂身にさまざまなスパイスを混ぜ込んで作る。リング状のものもよく見かける。
美味しい食べ方
南ドイツではサラダ(Wurstsalat)にして食べるのがポピュラー。
ブラートヴルスト Bratwurst
語源は「braten(焼く)」ではなく、脂肪分の少ない豚ひき肉を表す「Brät」だが、実際は焼いて食べることが多い。特に有名な2つをご紹介。
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テューリンガー
Thüringer Rostbratwurst地域:テューリンゲン州 15世紀から作られている伝統的なソーセージ。にんにくとキャラウェイ、マジョラムなどが混ぜ込まれている。
美味しい食べ方 カリッと焦げるまで焼き、マスタードを付けて。
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ニュルンベルガー
Nürnberger Rostbratwurst地域:ニュルンベルク 脂肪分が多くジューシーな小ぶりのソーセージ。マジョラムの味がアクセントになっている。
美味しい食べ方 玉ねぎと酢で煮込む「Saurer Zipfel」もおすすめ。
ドライソーセージ Rohwurst
「Roh」は「生」の意味で、加熱していないソーセージのこと。低温で乾燥、熟成もしくは燻製させて作る。スプレッドタイプとハードタイプがある。
メットヴルスト
Mettwurst
脂肪分を含まない豚ひき肉「Mett」を使用。南ドイツではスプレッドタイプ、北ドイツではハードタイプと違いがある。胡椒などの香辛料で味が付いており、スプレッドタイプには玉ねぎが入っているものが多い。
美味しい食べ方
スプレッドタイプはパンに塗るのが王道。ネギトロ丼のようにご飯と一緒に食べても。
テーブルスト
Teewurst
地域:リューゲンヴァルデ
(現ポーランド・ダルウォボ)
豚肉と脂身を混ぜてひき肉から作るスプレッドタイプ。ブナの木で燻製されている。
美味しい食べ方
特に全粒粉パン(Vollkornbrot)との相性が良い。
ラントイェーガー
Landjäger
地域:南ドイツ
別名:Peitschenstecken、Bauraseufzer、Unteruhlbacher
丸型ではなく四角形で、歯ごたえのあるハードタイプ。
美味しい食べ方
手で持ってそのままかじる。ピクルスなどの漬物とも相性が良い。
ドイツサラミ
Deutsche Salami
お馴染みのサラミはイタリア生まれのソーセージで、ドイツのサラミはイタリアのものよりも太め。ハーブ入り、野菜入り、胡椒がまぶされたものなど、バリエーションが豊富。
調理ソーセージ Kochwurst
生肉ではなく、調理した内臓や肉などを腸詰にして作るソーセージ。日持ちはしないため、冷蔵保存が必要。
レバーヴルスト
Leberwurst
ペースト状でドイツで大人気。豚や牛のレバーに、心臓などの内臓、玉ねぎ、塩胡椒やカルダモン、タイム、マジョラムなどの香辛料を加えて作る。
美味しい食べ方
シンプルに パンに塗って。
ブルートヴルスト
Blutwurst
別名:Rotwurst、Schwarzwurst、Flönz、Blunzen
豚の血が入った、赤黒いソーセージ。香辛料で血の匂いは気にならない。濃厚な味が特徴。
美味しい食べ方
スライスしてパンやサラダの具に。厚めに切ってフライパンで焼いても。
試してみたいマスタード3選
ソーセージの付け合わせと言えば…… そう、マスタード(Senf)! 数あるマスタードの中から、とっておきの3つをご紹介。
ドイツ最古のマスタード
ABBマスタード
Düsseldorfer Mostert (ABB)
1726年にデュッセルドルフで造られ始めた。「ABB」は創始者Adam Bernhard Bergrathの頭文字。黒みがかった色が特徴で、伝統的な辛めのマスタード。現在も、画家ゴッホの絵画にも描かれたクラシックな瓶で販売されており、デュッセルドルフ土産としても人気が高い。マスタード専門店のDüsseldorfer Senfladenでは、ABBマスタードのほか、西ドイツの大手マスタード会社Löwensenf(レーヴェンゼンフ)のさまざまなタイプの味が試食できる。
取扱い店舗
Düsseldorfer Senfladen
住所:Bergerstr. 29, 40213 Düsseldorf
月~木 10~14時、15~19時 / 金・土 10~19時
www.loewensenf.de/shop
25種類の味をビオで
ミュンヘナー・キンドル
Münchner Kindl
ソーセージの種類が豊富なバイエルン地方で造られる、原料がすべてビオのマスタードブランド。自家製のキャラメルを使った甘いマスタード(Süßer Senf)をはじめ、イチジク、マンゴーなどの果物が入ったユニークな味もある。
取扱い店舗
Viktualienmarkt
住所:Viktualienmarkt 3, 80331 München
火~金 9~18時 / 土8:30~17時 / 日・月は定休日
www.muenchner-kindl-senf.com
DDR時代から愛される
バウツナー
Bautz’ner
DDR(旧東ドイツ)時代から、今もなお東ドイツ地域を中心に愛され続けるマスタード会社。王道の中辛に加え、甘口、辛口、こしょうや西洋わさび入りのもの、パンに塗るタイプがあるなど、さまざまな商品を展開している。