ジャパンダイジェスト

旅ールのすすめ - ビールに会いに旅に出よう

山片 重嘉コウゴ アヤコ 1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らす。旅とビールを組み合わせた“旅ール(タビール)をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ビアジャーナリストとして『ビール王国』(ワイン王国)、『ビールの図鑑』(マイナビ)、『Coralway』(日本トランスオーシャン機内誌)など、さまざまなメディアで執筆。 www.jbja.jp/archives/author/kogo

雄ヤギBockの力で冬を温かく過ごす

クリスマスやお正月も終わり、寒さが一層身に染みるこの季節。やはり恋しくなるのは、体を中から温めてくれる高アルコールのボックビールだろう。

ボックビールは北ドイツの街アインベックが発祥といわれており、濃度の高い麦汁をふんだんに使ってアルコール度数を高めている。一般的なビールのアルコール度数が4~5%のところ、ボックは6.3~7.5%ほど。さらに濃度を高めてアルコール度数も高めたものはドッペルボックと呼ばれ、アルコール度数は6.5~8.0%にもなる。ドッペルボックは、またの名を「液体のパン」といい、中世の修道士たちにとって復活祭前の断食期間中の貴重な栄養源になっていた。

ボックの名称の由来は諸説ある。発祥の地である「アインベック」がミュンヘンで訛って「ボック」となった説や、ボックを飲むと雄ヤギ(ドイツ語でBock)のように元気になるからという説もあるとか。今回ご紹介する「Celebrator」のラベルにも雄ヤギが2頭。さらにボトルの首には、雄ヤギのチャームがあしらわれている。

醸造所は、ミュンヘン中央駅からSバーンで40分ほど行ったアイインク村にある。人口5400人ほどのこの村は麦畑や牧草地に囲まれ、中心部には小さな広場と教会、醸造所直営の宿やレストラン、ビアガーデンがあり、南ドイツの伝統的な農村の雰囲気が味わえる。

家族経営のローカルな醸造所ながら、「Celebrator」は世界的なビールの審査会で何度もメダルを獲得している名の知れたドッペルボックだ。口当たりはドライだが、6カ月の低温熟成により、ハチミツやローストナッツのような複雑で奥行きのある味わいに仕上がっている。飲む際は冷やしすぎず、8~10度ほどが適温。寒い冬の夜にじっくりと味わうのがおすすめだ。このビールで冬を乗り切り、やがて来る春の訪れを雄ヤギのように元気にお祝い(Celebrat)したい。

www.ayinger.de

vol.49
Celebrator

Celebrator

 
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