ジャパンダイジェスト

旅ールのすすめ - ビールに会いに旅に出よう

山片 重嘉コウゴ アヤコ 1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らす。旅とビールを組み合わせた“旅ール(タビール)をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ビアジャーナリストとして『ビール王国』(ワイン王国)、『ビールの図鑑』(マイナビ)、『Coralway』(日本トランスオーシャン機内誌)など、さまざまなメディアで執筆。 www.jbja.jp/archives/author/kogo

伝統×兄弟、革新×友人で、ビールの世界を面白く!

オーバーフランケン地方バイロイトの街にある、Brauerei Gebr. Maisel(マイゼル醸造所)。伝統と革新の両輪でビール界を牽引する醸造所として、国内外から注目を集めている。

醸造所名にある「Gebr」が「兄弟」を意味する通り、1887年にマイゼル兄弟によって創業。現在は4代目のジェフ・マイゼル氏を中心に運営されている。

同醸造所の看板商品は「Maisel'sWeisse Original」。バイエルンの伝統に則り、小麦麦芽を全体の50%以上使用。最初の発酵・熟成の後、さらに瓶内で二次発酵・熟成させている。バナナやリンゴのようなフルーティーでふくよかな香りが特徴で、豊かな泡と、飲み飽きることがないきれいな味わいは、伝統製法のヴァイツェンならでは。

しかしドイツでも醸造所の工業化が進み、簡易的なヴァイツェンが幅を利かせるようになった。そこで同社とシュナイダー、エルディングの三つの醸造所が協力し、ヴァイツェンの伝統と品質を守る運動を2019年から行っている。

一方の革新は、マイゼル氏が友人らと2012年に立ち上げたクラフトビール専門のレーベル「Maisel&Friends」。ドイツ語ではなく、英語の「フレンズ」を使用したところに国外への挑戦が感じられる。

焙煎麦芽をブレンドしてチョコ風味のビールを造ったり、同社が得意とするヴァイツェンに柑橘系の香りが漂うアメリカンホップを使用したり。創造的で芸術作品のようなビールのどれもが「ドイツビール純粋令」に則って、麦芽・ホップ・水・酵母の四つの原料だけで造られていることに驚かされる。

醸造所は、ビール博物館とビアバーを併設。ビアバーでは、自社製品だけでなく国内外の多彩な樽生ビール21種類と、ボトルビール90種類以上を楽しめる。また、定期的にセミナーも開催。伝統と革新の奥深いビールの世界を、目でも舌でも体験させてくれる醸造所なのだ。

www.maisel.com

vol.54
Maisel's Weisse Original

Maisel's Weisse Original

 
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