ジャパンダイジェスト

旅ールのすすめ - ビールに会いに旅に出よう

山片 重嘉コウゴ アヤコ 1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らす。旅とビールを組み合わせた“旅ール(タビール)をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ビアジャーナリストとして『ビール王国』(ワイン王国)、『ビールの図鑑』(マイナビ)、『Coralway』(日本トランスオーシャン機内誌)など、さまざまなメディアで執筆。 www.jbja.jp/archives/author/kogo

伝統的なフェストビールで天国気分!

毎年秋にミュンヘンで開催されていた世界最大級のビールの祭典オクトーバーフェストは、昨年に続き今年も中止となった。1810年に当時のバイエルン皇太子の結婚を祝って開催された競技大会が起源なのだが、初回から現在までに21回中止されている。その多くは戦争が原因であったが、コレラの流行で2回、新型コロナで2回と、感染症が原因では計4回中止になった。しかし人類はいつでも疫病を乗り越えてきた。きっとまた、オクトーバーフェストで大勢の人たちと乾杯できる日がやってくるだろう。

この祭りで飲まれるのは、伝統的にメルツェンスタイルのビール。本来、ウィーン麦芽を使用した赤褐色で麦芽の風味豊かなビールであったが、徐々にすっきりとした黄金色のビールに変わっていった。にぎやかなイベントでは褐色のビールよりも、ゴクゴクと飲んで喉の渇きを癒せるビールを消費者が求めたためだ。今年のイベントは中止されたが、各醸造所は熱のこもった「オクトーバーフェストビール」をボトルで販売。ほとんどの醸造所が黄金色のビールを造るなかで、伝統的な赤褐色のビールを出している醸造所がハッカー・プショールだ。

同醸造所が祭りの際に出すテント「Hacker-Festzelt」は、約9000人を収容できる巨大な建物で、その愛称は「Himmel der Bayern」(バイエルンの天国)。天井は水色の空と白い雲、側面にはミュンヘンの街並み、席の中央には樽職人の踊りである「シェフラー・タンツ」を模したステージがある。バイエルンの明るい空の下、おいしいビールと音楽があれば、そこは天国。もちろんボトルでも幸福感は味わえる。

「Oktoberfest Märzen」は、麦芽由来の旨味とローストナッツのような香ばしさが心地良い。後からやってくるホップのクリーンな苦みが口の中をすっきりとさせてくれ、すぐに次の一口が欲しくなってしまうビールだ。

www.hacker-pschorr.de

vol.58
Oktoberfest Märzen

Oktoberfest Märzen

 
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