この夏はドイツの海で人魚と戯れる
今年の休暇はドイツ夏の楽園、リューゲン島で過ごすのはいかがだろうか。リューゲン島はバルト海に浮かぶドイツ最大の島で、高級リゾート地として知られている。美しい砂浜や白亜の崖、古代樹の立ち並ぶ世界遺産の自然公園もあり、ダイナミックな自然と野生動物の宝庫だ。サイクリングやクルーズも人気だが、一番のぜいたくは浜辺でかご型のベンチ(シュトラントコルプ)に寝そべり、海風を感じながら飲むビールだろう。
島内にあるインゼル醸造所は、ビールの国際大会でメダルを複数獲得している注目の醸造所。創業者であるマルクス・ベルベリッヒ氏は、島の対岸にあるシュトラールズントで醸造責任者を17年間務めたベテランで、44歳の時に独立してインゼル醸造所を立ち上げた。その後、ベルギーと米国から経験豊富な醸造家が合流。国境にとらわれない独創的なビアスタイルや、今ではもう知る人の少ない古典的な製造法などを研究し、唯一無二のビールを醸造している。
厳選された素材を用いるのはもちろんのこと、発酵には一層の手間を惜しまない。酵母は2種類以上のものを使用。1回目のメインとなる発酵は空気にさらされる浅いオープン発酵タンクで、2回目の発酵は閉鎖された熟成タンクで行われる。さらにボトル詰めの際に糖類や酵母を加えることで、ボトル内で3回目の発酵と熟成が進む。これにより細微な炭酸がビールに溶け込み、まろやかな舌触りと豊かな風味が生まれる。ボトルは天然包装紙で完全に包み、日光による劣化を防いでいる。
「Meerjungfrau」は、ドイツ語で人魚を意味するビール。2種類の乳酸菌と、ドライに仕上がる特別な酵母を使用し、乳酸発酵によるエレガントな酸味と、辛口のシードルのようなフルーティーさを感じる。一口飲めば、凝り固まった全身の筋肉が解れるよう。夏の日差しの下、浜辺でのんびり人魚と語り合おう。