旅ールのすすめ - ビールに会いに旅に出よう

山片 重嘉コウゴ アヤコ 1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らす。旅とビールを組み合わせた“旅ール(タビール)をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ビアジャーナリストとして『ビール王国』(ワイン王国)、『ビールの図鑑』(マイナビ)、『Coralway』(日本トランスオーシャン機内誌)など、さまざまなメディアで執筆。 www.jbja.jp/archives/author/kogo

ケルンはケルシュ、ボンにはボンシュ

第二次世界大戦後から東西ドイツ再統一を迎えるまで、西ドイツの暫定首都だったボン。旧市街の中心にあるミュンスター広場には、作曲家ベートーヴェンの像がある。ボンはベートーヴェンが生誕した街であり、その生家は彼の生涯と作品に関連した手記や楽器、絵画などを展示する博物館として公開されている。

もう一つ、ボンが生んだ有名なものといえば、クマがトレードマークのグミ「HARIBO」だ。1920年に「HansRiegel氏がBonnで設立」。その頭文字を並べてHARIBOという社名になった。公式ショップには、スーパーでも見かけない珍しいグミや、文房具やぬいぐるみなどのグッズも豊富に並べられている。

さて、この二つほど有名ではないが、ビール好きならばボンのビール「ボンシュ(ベンシュ)」(Bönnsch)は外せない。とはいえ、ボンの特産品というわけではなく、「Brauhaus Bönnsch」という醸造所のオリジナルビールだ。ケルンの地ビールであり、上面発酵で醸造される「ケルシュ」のろ過されていない変種だが、ケルシュは原産地呼称の対象のため、ボンでは「ボンシュ」と呼ばれる。

醸造所併設のレストランでは、握り手の付いたボンシュ専用グラスで提供される。ケルシュ同様、次々にビールが提供される「わんこそば」方式だが、それがケルンほど徹底されていないのもご愛嬌だ。レストランでは肉料理から軽食、ベジタリアンフードまで充実。醸造設備はレストランの奥にあり、運が良ければ醸造の様子を見ることができる。

無ろ過のためBönnschはやや白濁している。白ワインのようなフルーティな香りと穀物の甘味。飲み込んだ後からホップの青々しい苦みが舌の上に広がり、またすぐに次の一口が欲しくなる。ケルンやデュッセルドルフからのアクセスも良いボン。この春は、ぜひボンシュを飲みに旅ールに出掛けてみてはいかがだろうか。

www.boennsch.de

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Bönnsch naturtrüb

Bönnsch naturtrüb

 
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