ジャパンダイジェスト

アウシュヴィッツ収容所解放から70年
ガウク大統領が「ドイツ人の道徳的な義務」に言及

アウシュヴィッツ強制収容所解放から70周年を迎えた1月27日、連邦議会で特別会合が開かれ、ガウク大統領らが演説を行った。

また同日はポーランドのアウシュヴィッツ強制収容所跡でも式典が行われ、大統領はこれにも参加した。1月28日付のヴェルト紙が伝えた。

連邦議会の特別会合でガウク大統領は、アウシュヴィッツ強制収容所解放70年に際し、この歴史を踏まえて「ドイツ人には難民と人権を守る道徳的な義務がある」とし、100万人が殺害された記憶はドイツ人に「隣人愛とすべての人の人権を守る」使命を突き付けていると強調した。また、「アウシュヴィッツを抜きにして、ドイツ人のアイデンティティーを語ることはできない」とも述べた。さらに、反イスラム運動のPegidaについて直接は言及しなかったが、「我々は今こそ新たに、異なる文化や宗教との相互理解に努めなければならない」とし、一方で、反ユダヤ主義、反イスラエル感情が強い国からの移民の存在にも触れ、「我々は歴史の真実を根気強く伝えていく必要があり、今日あるこの社会の価値を知らしめていかなければならない」と強調した。ランメルト連邦議会議長は「ドイツのこの恐るべき過去に対し次世代に責任はない。しかし、過去と向き合っていく責任はある」と訴えた。

強制収容所を生き延びた75歳の男性は、「素晴らしい文化を持つドイツ民族が、どうしてこのような罪を人類に対して犯したのか、私は一生理解に苦しむだろう」とコメントした。

アウシュヴィッツの絶滅収容所では、110万人以上が殺害されたと言われており、このうち100万人はユダヤ人だった。1945年1月27日、ソ連軍によって解放されたとき、7500人の生存者が確認されている。

連邦議会での特別会合を終えた後、ガウク大統領はポーランドへ飛び、現地で行われた追悼式典に参加した。同式典には、各国首脳と並んで同収容所を生き延びた300人も列席。コモロフスキ・ポーランド大統領は、人種差別や反ユダヤ主義に抗していく姿勢を呼び掛け、ナチスの犯罪を相対化するものに対しては、断固対決するべきであると訴えた。

 

 

Pegida幹部が続けて退任 創設者の次は広報担当
反イスラムデモも中止に

ドレスデンを拠点とする反イスラム運動Pegidaは、同組織の広報担当を務めていたカトリン・エルテル氏が同ポストから退くことを明らかにした。

Pegidaでは1週間前、創設者のルッツ・バッハマン氏が代表から退いたばかり。Pegida組織委員会はエルテル氏の退任理由を「激しい敵対的意見にさらされる中で、作戦タイムが必要になった」と説明している。またエルテル氏退任に伴い、さらに4人の幹部が辞任を表明しており、これを理由に次回予定されていた月曜日デモを中止するとPegidaは発表。また、エルテル氏に近かったPegidaメンバーが新たな組織結成を画策していることも報じられた。

Pegidaは「西洋のイスラム化に反対する欧州愛国主義者」を標榜しており、昨年10月からドレスデンでデモを繰り広げていた。最後に行われた1月25日の日曜日デモでは1万7000人が参加している。同組織は当初、「反イスラム主義」を看板としていたが、創設者のバッハマン氏がヒトラーの扮装をしている姿がフェイスブック上で発覚したのを機に、差別的な外国人排斥思想を持つことが露呈した。

 

 

ケルンで「シャルリー・エブド」の山車は却下
カーニバルの雰囲気と安全性を重視し

ケルンのカーニバルのハイライト、ローゼンモンタークの山車行列で、パリのテロ事件をモチーフにした山車の参加が中止になったことをカーニバル連盟が発表した。

伝統あるケルンのカーニバルでは、その時々の時勢を反映した社会や政治風刺の山車が繰り出すことで有名。今回、パリで起こった週刊新聞「シャルリー・エブド」襲撃事件をモチーフにした山車については、フェイスブック上で公開された14の図案の中から人気投票によって選ぶという方法が用いられた。しかし、インターネット上で賛否両論が起こり、カーニバル連盟は「カーニバルの楽しい雰囲気と気軽さが制限されることを懸念」し、同決定をした。

 

 

子どもに精子提供者を知る権利
連邦裁判所が認める

ドイツ連邦裁判所(BGH)は、匿名の精子提供によって生まれた子どもが、年齢の制限なく提供者である「生物学上の父親」の名前を知る権利があるとの判断を下した。

これは、ニーダ―ザクセン州に住む12歳と17歳の姉妹が訴えを起こしていたもので、2013年にハーメルン地区裁判所でいったん、この訴えを認める判決が出たが、その後ハノーファー地方裁判所で却下されていた。BGHのドーゼ裁判官は「子どもが自分のルーツを知る権利は尊重されなければならない」と判決理由を述べているが、精子バンクは、精子提供者の匿名性が守られなければ、今後、適切な提供者の確保は困難になるだろうと指摘している

 

 

イスラエル人大多数が ドイツ人に好印象
外交に関しても高評価

イスラエル人およびパレスチナ人の大多数が、ドイツおよびドイツ人に対して好印象を持っていることが、コンラート・アデナウアー基金の調査で明らかになった。

これは、1000人以上のイスラエル人とパレスチナ人に調査を実施したもの。欧州諸国の中でイスラエル人が最も好印象を持っている国がドイツで、70%が「好印象」、80%が「ドイツはイスラエルにとって重要なパートナー」と回答している。また、71%がドイツの外交や世界における役割を好意的に評価しており、メルケル首相に対する支持は、年齢層が高くなるほど上がることが分かった。今年は、ドイツとイスラエルの国交成立50周年に当たる。

一方、パレスチナ人のドイツに対する評価もイスラエル人と似ており、回答者の3分の2が、「平均的なドイツ人はパレスチナ人を理解し、サポートしてくれている」としている。

また、パレスチナ人の大多数が、ドイツがイスラエルの存在を支える上で重要な役割を担っていることを認識している一方で、「ドイツは中東紛争における大きな役割を果たせる国」と見ていることが明らかになった。

 

女性の就業率、いまだに東が西を上回る
男女の役割分担の認識に違い

女性の就業率の高さが、ベルリンの壁崩壊後25年経ってもなお、旧東独地域が旧西独地域を上回っていることがベルテルスマン基金の調査で明らかになった。

同調査によると、女性が社会保障加入義務のある職に就いている割合が、旧東独の場合は57.9%、旧西独は50.9%だった。

この中で女性の就業率が最も高い州はザクセン州の58.5%で、これに次いで高かったのがブランデンブルク州とテューリンゲン州でともに58%。最も低かったのがザールラント州の47.2%で、それに次いで低いのがノルトライン=ヴェストファーレン州の47.5%だった。

 

「嘘つきメディア」が今年の不快語大賞に
「報道の自由を脅かす言葉」と専門家が指摘

反イスラム運動Pegidaのデモ参加者によって使われた「嘘つきメディア(Lügenpresse)」が2014年の不快語大賞に選ばれた。

選考理由としては、「メディア全体をおとしめ、報道の自由を脅かす言葉」というもの。この決定を受け、ドイツ新聞発行連盟(BDZV)は歓迎の意を表明。「Pegidaデモの主催者は、そのような表現を通してナチス用語を引っ張り出すこともできる」と述べた。また、言語専門家は「嘘つきメディアという言葉はすでに、第1次世界大戦時に使われ、ナチス時代にも政党から独立した報道機関をおとしめる表現として用いられていた」と解説。

 

バイエルン州で、うつ病の症例が突出
教師の3人に1人は燃え尽き症候群

健康保険組合BKKが9日発表した健康リポートで、精神的な要因による病欠日数が、ほかの要因による日数を上回っていることが明らかになった。

同リポートによると、精神的な要因による病欠日数の年間平均は38日で、がんによる病欠日数の35日を上回る。精神的要因の3分の1はうつ病だが、その症例件数には地域差があり、最も多いのはバイエルン州。これにラインラント=プファルツ州、ザールラント州が続く。BKKは「心理療法士が多い地域では、より多くのうつの症例が診断される」と分析。一方、全国の教師の3人に1人が「燃え尽き症候群」にあることも報告されている。

 

CSUが移民家庭の「ドイツ語化」を提唱
批判受け、表現を緩和も

キリスト教社会同盟(CSU)が9日、移民に対して「言語を通しての同化」を提唱したことが物議を醸している。

CSUは当初、移民のドイツ社会同化への一助として、「家庭内でもドイツ語を話すべきである」とし、その実践状況を監視する「言語パトロール」の導入を提唱していた。これに対し、政治家からだけでなく、インターネット上でも批判が殺到。姉妹政党キリスト教民主同盟(CDU)のタウバー事務局長は、「家庭内で話す言語に政治が介入することはできない」と言明。これらの事態を受けてCSUは、同案の文言を「移民家庭内で、日常生活においてドイツ語を話すモチベーションを持つべき」と緩和した。

 

「欧州愛国主義者」による反イスラム・デモへ懸念高まる
ドレスデンで1万人が参加

「西欧のイスラム化に反対する欧州愛国主義者(=Pegida)」による反イスラム・デモの拡大に対し、懸念の声が高まっている。12日付のヴェルト紙が伝えた。

Pegidaによるデモは、ドレスデンで毎週月曜日夜に開催されていたが、8日には1万人規模のデモに発展。これを受けてザクセン州のティリッヒ首相(キリスト教民主同盟=CDU)は、「市民との対話を行い、不安要因を取り除く必要がある」と述べた。Pegidaのデモでは、参加者はシュプレヒコールを叫んだり破壊活動を行うことはなく、プラカードを掲げて黙々と行進する。発起人のルッツ・バッハマン氏は「我々の活動は基本法を基盤としており、それを逸脱することはしない」と述べている。反ユーロを掲げて保守派の支持を集めているドイツのための選択肢党(AfD)は、Pegidaデモ参加者への共感を表明。世論調査機関エムニトの意識調査では、ドイツ人の33%がPegidaのデモ参加者の大多数は極右であると認識している。一方、デメジエール内相(CDU)は、反イスラムを扇動する風潮に対して「ドイツ社会の空気が荒んできている」と懸念を表明している。

 

CDU、党大会でメルケル首相を党首に再選
演説で、連立パートナーのSPDを批判

ケルンで9日、キリスト教民主同盟(CDU)の党大会が開催され、メルケル首相が総数919票のうち884票を獲得、96.7%の支持率で党首に再選された。

今回の投票で、メルケル首相は2000年にCDU党首に就任して以来、2番目に高い支持率を獲得。最も多い支持を集めたのは2年前のハノーファーでの党大会で、このときの得票率は97.9%、支持率が最も低かったのは04年のデュッセルドルフ党大会で、88.4%だった。

党大会ではさらに、5人の副党首も選出され、その1人にポスト・メルケルの呼び声が高いラインラント=プファルツ州のユリア・クレックナー代表が、96.5%という高い支持率を得て選ばれた。このほか、ヘッセン州のブッフィエ代表(89.1%)、ノルトライン=ヴェストファーレン州のラシェット代表(76.1%)、バーデン=ヴュルテンベルク州のシュトローブル代表(75.2%)、フォン・デア・ライエン国防相(70.5%)が選出された。

メルケル首相は1時間に及んだ演説の中で、連邦議会の連立を組む社会民主党(SPD)への批判を展開した。先頃、テューリンゲン州で左派党主導の連立政権を発足させたことに対して、「破産宣言に等しい出来事」と非難。17年の連邦議会選挙で左派党、SPD、緑の党による連立政権の可能性を阻止するためには、CDU・CSUが強固にならなければならないと言明した。一方、長年連立を組み、前回の選挙に敗退して連邦議会で議席を失った自由民主党(FDP)に対しては、「早々に諦めるべきではない。彼らはCDUの連立パートナーにふさわしい」と述べた。

また、緑の党との連立政権を成立させたヘッセン州のCDUを称賛し、「新たな興味深い可能性を開いた。ヘッセン州にとって有益だ」とコメントした。さらに、13年の連邦議会選挙後に緑の党との連立を模索したものの、成立しなかったことを「残念に思う」と述べた。

一方でメルケル首相は今回、急速に勢力を伸ばしている新党「ドイツのための選択肢(AfD)」については一切言及しなかった。テューリンゲン州では、左派党政権成立を阻むために、CDUとAfDの間で連立に向けた話し合いがなされたとの噂が持ち上がり、党大会前に物議を醸していた。

 

テューリンゲン州で初の左派党首相が誕生へ
緑の党、SPDと連立

旧東ドイツのテューリンゲン州で、東西ドイツ統一後初めて左派党州首相による左派党と社会民主党(SPD)、緑の党の3連立政権が誕生する見通しとなった。州首相は、12月5日に州議会で正式に選出される。11月21日付のヴェルト紙が伝えた。

9月14日のテューリンゲン州議会選挙で、左派党は得票率27.7%と躍進。キリスト教民主同盟(CDU)に次ぐ第2党の座を獲得した。一方、CDUと連立を組んでいたSPDは得票率を大幅に減らし、この結果、これまで政権を担っていたCDUとSPDの大連立に代わって、左派党、SPDに緑の党を加えた3党連立政権樹立の可能性が浮上。3党は選挙後、予備会談および連立交渉を重ねていた。

11月20日に行われた連立交渉で3党は、左派党のボド・ラメロフ氏を州首相に選出する形での連立政権に合意。左派党は、州議会選挙での得票率がSPDと緑の党の合計を10%近く上回っていたにもかかわらず、8つある大臣ポストのうち、3つのみを担うことで譲歩を示し、「3党の平等な目線に基づく組閣」をアピールした。これにより、東西ドイツ統一以来、同州政権を担ってきたCDUが初めて野党に回ることとなった。

左派党は、旧東ドイツの政権政党、ドイツ社会主義統一党(SED)と、その後継政党、民主社会党(PDS)の流れを組む党で、旧東ドイツ政権との繋がりをめぐって同党の責任を問う声が出ていたほか、連立を組むことになったSPD内からも根強い反発の声が上がっていた。また、メルケル首相(CDU)およびガウク大統領も、左派党州首相の誕生に対して懸念を表明していた。

これに対し、左派党は連立協定に「旧東ドイツ国家は不法国家に等しかった」との一文を入れることに合意。ラメロフ代表は、「我々は、旧東ドイツ政権の不法と横暴について話さなければならない」と言明。旧東ドイツの独裁政権の犠牲者に対する調査を進め、賠償問題にも積極的に取り組んでいく姿勢を示した。

このほか、財政問題においては今後5年間、新たな債務を作らないことや、500人分の教員ポストを増員すること、保育園の無料化などを政策目標に掲げている。

 

中高生の大多数が将来の職業選択について「不明瞭」
「十分に情報を得ている」のは半分

世論調査機関アレンスバッハが行った意識調査の結果が11月25日発表され、将来の職業選択について、中高生の大多数が困難を感じており、「十分な情報を得ている」と感じている人は半数であることが明らかになった。

530人の生徒と480人の中高生の親を対象に実施されたアンケート調査で、全体54%が「将来性のある仕事が何か分からない」と回答。「夢の職業」ランキングでは、「未来の分野」とされるITおよびコンピューター関連の仕事が下位にとどまった。なお、将来の職業についての相談相手として最も多いのが両親で、75%が父親、85%が母親にサポートを求めるとしているが、「両親から十分な助言が得られている」と回答した生徒は半分以下だった。

中高生がキャリアの方向性を描けない傾向は職業訓練や大学の中退率にも反映されており、職業訓練生の4人に1人が訓練を、大学生の3人に1人が学業を中断している。また、職業で重視する事柄について、男子では「収入」が多かった一方、女子では「人との関わり」が上位を占め、私生活とのバランスを重んじる姿勢が浮き彫りとなった。

 

最も経済力がある都市はヴォルフスブルク
旧東独各都市が上位にランクイン

 経済紙ヴィルトシャフツヴォッヘと不動産サイト「イモビリエン・スカウト24」による「勢いのある都市」ランキング上位に、旧東独州のライプツィヒ、エアフルトが選ばれた。11月28日付のヴェルト紙が伝えた。

これは、国内69都市を経済的な活力を基準に比較したもので、1位が自動車大手フォルクスワーゲン本社のあるヴォルフスブルク、2位はアウディの本拠地インゴルシュタット、3位にヴュルツブルクが選ばれた。また旧東独州からはライプツィヒが4位に、エアフルトが9位にランクインした。首都ベルリンは5位。ランキング下位は、ノルトライン=ヴェストファーレン州のルール地方の各都市が占めた。

 

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