ジャパンダイジェスト
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Vol.12 ひたすら上を目指すベテラン

安藤 梢FCR2001 デュイスブルク

1982年7月9日生まれ。父親の影響でサッカーを始め、栃木県屈指の進学校、宇都宮女子高校を出て筑波大学へ進学後、2002年に学業と平行してさいたまレイナスに加入。最優秀新人賞を獲得する。以降も得点王2回、最優秀選手2回、ベストイレブン6回と、圧倒的な存在感でなでしこリーグを牽引する存在に。09年にデュイスブルク移籍。ドイツでの生活も気に入っているようで、ここ最近のお気に入りはノンアルコールのビールを試合前後に飲むことだとか。

安藤 梢

彼女が最初に脚光を浴びたのは2004年、アテネ五輪前のことだ。それまでももちろん、高校生にしてA代表に選出されたり、大学へ通いながら入団したさいたまレイナスでは、最優秀新人賞、最優秀選手に選出されるなど、実績は華々しかった。ただ、いかんせん女子サッカーの世界の話。大きな形で人目に触れることは、ほとんどなかった。日本の女子代表が「なでしこ」という愛称を得て人目に触れ始めたのが、04年頃のこと。安藤梢は才色兼備の希有なサッカー選手として、メディアに多く登場した。当時、アテネ五輪に出場した日本代表チームに今ほどの強さはなかったが、00年のシドニー五輪を逃しており、2大会ぶりの出場ということで注目を浴びた。

シドニー五輪の前後には、多くの日本女子リーグのクラブから企業が撤退し、女子のトップ選手がサッカーを続けることさえ苦しい状況であった。その中でのアテネ五輪出場ということで、女子サッカーを盛り上げ、継続させようという機運が各方面から高まったのだ。澤穂希のように、中心的役割を担っていたベテラン選手はもちろん、当時22歳の若手だった安藤も大いに話題となった。

そして今、彼女はなでしこジャパンの中でも、すでにベテランの域に達し、来るロンドン五輪は30歳で迎える。現在、成長中の若手の突き上げも厳しいし、昨年の女子ワールドカップ(W杯)直後にデュイスブルクで負った膝の怪我が未だに尾を引いている。なでしこジャパンで先発から外れることもしばしばだ。ただ、もちろん本人にそんなつもりはないだろうが、 今回の五輪は年齢的には大舞台で戦える最後(に近い)チャンスとなる。

本人は、「何歳になっても、ただただサッカーをやり続けたいし、上手くなりたい。その後のことは考えられない」と言う。今回の五輪は、恐らくこれまでの大舞台以上に厳しい状況で迎えることになる。それでも、この純粋な想いを胸に彼女は立ち向かうだろう。

ブンデスリーガ戦力分析

香川真司のマンチェスター・ユナイテッドへの移籍は決まったが、来季も多くの日本人選手がブンデスリーガで戦うことになっている。6月中旬の時点で清武弘嗣はニュルンベルク、酒井宏樹はハノーファーへの加入が決まっている。また、昨季苦しんだ宇佐美貴史はホッフェンハイム、乾貴士は1部昇格が決まっているフランクフルトへ。アウグスブルクの1部残留の立役者である細貝萌はレンタル元のレヴァークーゼンへの復帰が決まっている。その他、内田篤人や長谷部誠にも移籍の噂はつきまとっているが、現時点では定かではない。

さて、ここ1カ月欧州中が注目していたのが欧州選手権だ。ご存知の通り、ドイツは優勝候補の一角として終始安定した戦いぶりを見せた。振り返れば予選を10戦全勝で勝ち抜いてきたのも、本大会1次リーグを全勝突破したのもドイツだけ。今のドイツ代表は、ベテランと若手のバランスも良く、適度に伸び代もあり、ちょうど良い成熟具合といったところだ。大会 前から、前回王者スペインに対抗し得る唯一のチームと目されていたが、準々決勝までは、その前評判を裏切らないプレーを見せた。特に注目を集めたのが、2010年のW杯南アフリカ大会で世界にその名を知らしめたエジル。巧みなボールさばきは今大会でさらなる飛躍を見せ、今後数年間はドイツ攻撃陣の中核を担う存在となるだろう。また、日本人にはお馴染みのノイアーやフンメルスも、目覚しい活躍を見せた。今大会で気になった選手を2年後のW杯ブラジル大会まで追い掛ける、なんていうのも一興だ。

 
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了戒美子 フリーライター。1998年日本女子大学文学部史学科卒。2011年3月より、デュッセルドルフを拠点にドイツをはじめとする欧州サッカーの取材を開始。日本人選手の躍進に大きな期待を寄せている。スポルティーバ(sportiva.shueisha.co.jp)、やナンバー(number.bunshun.jp)、エルゴラッソ(golazo.jp)などのサッカー専門誌、スポーツ紙、ウェブサイトなどで幅広く活躍中。
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