べルリンのノイケルン。数年前に起きた公立学校での暴力事件以来、何かと悪しきイメージがつきまとうこの地区ですが、「決してそれだけではありませんよ!」という地元住民からのエールを込めて、今回はノイケルンの最新事情をご紹介したいと思います。
ここ1年半ぐらい、ノイケルンが地元の情報誌などで取り上げられる機会が増えてきました。特にクロイツベルク地区との境は、「クロイツケルン」などと呼ばれ、カフェやバーの数が増えて活気付いています。また、旧東のプレンツラウアーベルク地区の家賃が高騰するにつれ、そこに長く住んでいた学生や芸術家がノイケルンに越してきているという話も聞くようになりました。近くのテンペルホーフ空港が昨年閉鎖され、騒音問題が解決されたことは今後どう影響するのか。少なくとも、今ベルリンで1番「変化」が感じられる地区といえるかもしれません。
リクスドルフにある落ち着いた雰囲気のバー
「B-Lage」(Mareschstr.1)
移民が多く住む新興地区というイメージの強いノイケルンですが、実はここには、ベルリンの中でもとりわけ長い歴史を持つ一角があります。フリードリヒ・ヴィルヘルム1世が、祖国を追われたボヘミアの新教徒を受け入れたことで知られるリクスドルフ(Rixdorf)。その起源は14世紀にまで遡り、地図を見れば、この一帯だけ道が迷路のように入り組んでいるのがすぐにわかるでしょう。まさに「都会の中の村」という趣を残しています。
夜に飲み歩くなら、ヴェーザー通りや前述の「クロイツケルン」地区がお薦めです。「Ä」(Weserstr.40)や「Freies Neukölln」(Pannier s tr.54)は、飾り気はないけれども、居心地が良い飲み屋。ベルリンの多くの地域で失われつつある雰囲気を残しています。「Raumfahrer」(Hobrechtstr.54)というバーは、その名の通り「宇宙飛行」をイメージした内観が特徴で、現在のノイケルンのトレンドとも言える店かもしれません。古典を大胆に現代化することで定評のある「ノイケルン・オペラ」など、文化面での充実ぶりも見逃せません。
プレンツラウアーベルクやクロイツベルクのように、オシャレでも垢抜けてもいませんが、発見する楽しみに溢れた場所であることは確かです。ぜひ1度お越しあれ!
カール・マルクス通りにある「ノイケルン・オペラ」