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コロンビアから来たカーニバルの天使

先日、ブラウンシュバイクで行われたカーニバルに参加してきました。ドイツのカーニバルは、13〜14世紀頃に始まったとされる記録が残っており、冬を追い払って春を迎えるゲルマン系の民族儀礼も影響していると考えられています。カーニバルでは農民が王様の仮装をしたり、権力者を笑い飛ばしたり、市民が権力を風刺する社会的なガス抜きのような要素を持って発展してきました。ナチス政権下では、体制批判などが禁止されましたが、現代では極右問題、気候危機、ウクライナ戦争、パレスチナ問題などをテーマとした山車や仮装が登場します。

「私たちは、安全性以外の全てに対応可能です」と書かれたバナー「私たちは、安全性以外の全てに対応可能です」と書かれたバナー

僕が参加しているのは、放射性廃棄物に対して喚起を促す山車です。この山車は、2015年に緑の党が8000ユーロをかけて作り、今は複数の市民団体が協力して維持・運営しています。比較的小さな僕たちのグループでさえ、カーニバルの日に配布するお菓子に1000ユーロも費やしているので、この1日で途方もない量のお菓子が飛びかっていることが想像できます。昨年までは、僕の子どもも喜んで参加していたのですが、今年は気乗りしない様子。そのため今回は、コロンビアから来ている友人を誘ってカーニバルへ行くことにしました。

ブラジルのリオと同じく、コロンビアでもカーニバルは盛大に祝われるとのことですが、ドイツのカーニバルに参加するのは初めての彼。落ちたお菓子や紙吹雪をほうきで掃いたり、観客が車輪に近づきすぎないように安全を確保したりする、車天使(Wagenengel)として参加してくれました。普通ならほうきで路上のお菓子をサッと掃くところを、彼は一つひとつ手にとって子どもに渡していたり、たくさんの人と写真を撮ったり。とても楽しんでいる姿を見て、僕もうれしくなりました。

カーニバルの後、ゴミが散乱する街カーニバルの後、ゴミが散乱する街

彼は政治的な理由で欧州に亡命してきました。しかし、難民申請が下りる見込みがなく、いつ強制送還されてもおかしくないという不安を抱えながら、難民収容施設で暮らしています。語学学校にも通えず、ドイツ語も英語も話せない。社会の中で身のよりどころがなく、時には厳しい罵声を投げつけられることもあるといいます。そうした状況の中で参加した今回のカーニバル、お菓子を配ったり、ハイタッチをしたり、写真を撮ったり、人々と交流できたことがうれしかったのだと思います。

カーニバルが終わり、ゴミが散乱する街を見て、僕自身はこの祝祭が好きになれないと思いつつ、彼のように喜んでいる人と一緒であれば、また来年のカーニバルに参加したいと思いました。

国本 隆史(くにもと・たかし)
神戸のコミュニティメディアで働いた後、2012年ドイツへ移住。現在ブラウンシュバイクで、ドキュメンタリーを中心に映像制作。作品に「ヒバクシャとボクの旅」「なぜ僕がドイツ語を学ぶのか」など。三児の父。
takashikunimoto.net
 
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