ジャパンダイジェスト

60周年を迎えたアメリカ記念図書館

ベルリンの大きな図書館といえば、長い歴史と膨大な蔵書を誇る2つの国立図書館が有名です。とはいえ、学生や研究者ならばともかく、一般の市民により親しまれているのは、それぞれの地区にある市立図書館の方でしょう。その中でも規模が大きいことで知られているのが、クロイツベルク地区にあるアメリカ記念図書館 Amerika Gedenkbibliothek(通称AGB)です。今年60周年を迎えるAGBが、このたび改装工事を経てリニューアルオープンしました。

アメリカ記念図書館
1954年に完成したアメリカ記念図書館

地下鉄U1のHallesches Tor駅前にあるAGBは、その名前が示す通り、そもそもはアメリカ合衆国からの「贈り物」。1948~49年に掛けて行われた、いわゆるベルリン空輸作戦が終わった後、アメリカは同盟関係にあった西ベルリンに新たな文化施設をプレゼントすることになりました。当時の市民からは、博物館や新フィルハーモニーを建ててほしいとの要望が強かったそうですが、結局「教育と言論の自由のシンボル」として、西ドイツ最大規模の公立図書館が建てられることになったのです。

この図書館の良いところは、書架に並んでいる本を実際に手に取った上で借りられることでしょう(国立図書館では通常、事前に借りたい本を申請した後、書庫から本を出してもらう流れになっています)。蔵書のジャンルは、歴史や宗教、文学などの人文系から社会科学、語学書、旅行関係、児童書まで多岐に及ぶため、学生からシニア、家族連れまで幅広い利用者が集います。もう1つ特筆すべきは、楽譜やCD、DVDなどの充実ぶり。DVDコーナーでは、日本映画の作品もちらほら見掛けます。今回の改装によって内部の雰囲気が明るくなり、閲覧スペースも増えて、以前よりも利用しやすくなったという印象を受けました。館内はWiFi無料なので、パソコンを持って作業している人も多く見られます。

広々としたアメリカ記念図書館の内部
広々とした図書館の内部

ベルリン在住者であれば、外国人でも住民票とパスポートを持参すれば、その場で図書カードを作ることができ(年会費は大人10ユーロ、学割5ユーロ)、本やCDは28日間、DVDは14日間、一度に60までのメディアの貸し出しが可能です。また、ベルリンの公共図書館のネットワーク(www.voebb.de)を通して、ほかの市立図書館を含めた、あらゆるメディアを検索できるのも便利です。今年9月1日からは、平日の開館時間も延長されました(月~金10:00~21:00、土10:00~19:00)。ある程度長くベルリンに住むという予定の方ならば、利用価値の高い図書館として、ぜひお勧めしたいと思います。

www.zlb.de

 
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中村さん中村真人(なかむらまさと) 神奈川県横須賀市出身。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。現在はフリーのライター。著書に『ベルリンガイドブック』(学研プラス)など。
ブログ「ベルリン中央駅」 http://berlinhbf.com
守屋健(もりやたけし)
ドイツの自動車、ビール、そして音楽に魅せられて、2017年に渡独。現在はベルリンに居を構えるライター。健康維持のために始めたノルディックウォーキングは、今ではすっかりメインの趣味に昇格し、日々森を歩き回っている。
守屋 亜衣(もりや あい)
2010年頃からドイツ各地でアーティスト活動を開始し、2017年にベルリンへ移住。ファインアート、グラフィックデザイン、陶磁器の金継ぎなど、領域を横断しながら表現を続けている。古いぬいぐるみが大好き。
www.aimoliya.com
佐藤 駿(さとう しゅん)
ドイツの大学へ進学を夢見て移住した、ベルリン在住のアラサー。サッカーとビールが好きな一児のパパです。地元岩手県奥州市を盛り上げるために活動中。
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