フランクフルトのシャウマインカイ通りは通称「博物館通り」と呼ばれ、さまざまな博物館や美術館が立ち並んでいます。そんな博物館通りにあるコミュニケーション博物館は、手紙や電報、電話やラジオ、インターネットなどによる伝達・通信をテーマに、その歴史や仕組みを学べる施設です。
今年11月18日から来年8月29日まで、コミュニケーション博物館では「back to FUTURE ーフィクションと現実の間の技術的ビジョン」と題した特別展を開催しています。昔のフィクションや発明を通して、「過去に描かれた未来」を紹介することで今の私たちの未来を理解しようという展示です。残念ながら博物館は新型コロナウイルス感染予防対策のため、11月2日から閉館中ですが、この特別展のオープニングイベントがインターネットでライブ配信されました。
ストリーミング配信で、リアルタイムにコメントしながらオープニングイベントに参加
ユーチューブとフェイスブックでのストリーミング配信では、館長をはじめ学芸員や専門家が登場し、今回の特別展を紹介。まるで博物館を訪れて、キュレーターと一緒に見学ツアーに参加したかのように展示の概要を見ることができました。
展示は、移植や不死、時空間移動、コミュニケーションなど四つのテーマに分かれています。テーマごとに担当の学芸員が概要を紹介したり、実際の展示品の一部に焦点を当て、ビデオライブで参加した専門家が意見を述べたり、学芸員が展示品の前で解説したり。配信に合わせて、視聴者もリアルタイムで感想をコメントすることができ、皆で一緒にイベントに参加しているような臨場感がありました。
リアルな博物館での通信展示
特に面白かったのは、それぞれのテーマごとに視聴者からのコメントや質問をその場で取り上げて、インタラクティブに配信が進むことです。質問に対して学芸員が展示を見せながら回答したり、コメント欄でも別の学芸員がチャットで応じたりと、一方通行の紹介にとどまらない配信で、飽きることなく楽しめました。ロックダウン中は、この特別展をオンラインで楽しむこともできるほか、展示品の紹介や、展示をテーマにしたクイズ、オープニングイベントの様子をアーカイブから見直すことが可能です。
手紙の仕分け機。郵便、通信、メディアなどさまざまな分野での常設展も魅力です
またコミュニケーション博物館では、2017年から「Leben&Lernen X.0」という名のデジタルプロジェクトを続けています。デジタル技術をうまく活用するために、市民や専門家が議論するほか、ワークショップが開かれることも。今回の特別展でも「改善された人間ー私の中のサイボーグ」と題し、ライブストリームで誰でも参加できる討論会を実施。こうした討論会は定期的に博物館の中で行われていましたが、今回はストリーミングでさらにデジタルを活用したディスカッションとなりました。
Museum für Kommunikation Frankfurt:www.mfk-frankfurt.de
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。 Twittter : @nikonikokujila