ジャパンダイジェスト

もうひとつのアルトシュタット

フランクフルトの西側に、ヘキスト(Höchst)という市区があります。化学薬品会社などが多い工業地帯、戦後の移民問題の影響から脱却できずにいる地域、といった重いイメージもある市区ではありますが、「このヘキストの旧市街が実は魅力的」と言う人も少なくありません。ならば一度訪ねてみなくてはと思い、私も出掛けてみることにしました。

フランクフルト中央駅からヘキスト駅まではSバーンに揺られて約10分、さらに駅から徒歩10分程度でマイン川沿いに広がる旧市街に到着します。

緑豊かな川沿いはプロムナードになっていて、城壁や塔、城や教会など中世からの歴史ある建造物が並んでいます。しっとりとした趣のある景観に、工業地帯というイメージは見事に覆されました。川沿いではサイクリングや日光浴を楽しむ人も多く、市民の憩いの場にもなっているようです。

マイン川沿いのプロムナードからの眺め
マイン川沿いのプロムナードからの眺め

川側の市門をくぐり昔の税関の塔を抜けると、城をぐるりと囲むように、石畳に木組みの家が立ち並ぶ愛らしい一角が広がっています。また、旧市街の 東端には、18世紀に建てられたバロック様式のボロンガロ宮殿があり、美しい庭園、そしてテラスか ら見える水辺の風景がとても爽やかです。

フランクフルトにも古い町並みが残されているのを見るととても嬉しくなりますが、ヘキストがフランクフルトに合併されたのは1928年のことです。 8世紀からそれまでは、主にマインツ大司教区の影響下にあったため、フランクフルトとは異なった独自の歴史を歩んで来たと言えそうです。またヘキストは、ドイツではマイセンに次いで2番目に古い磁器の生産地で、旧市街の各所では、今日までのヘキスト磁器のコレクションが見られました。

ヘキストの旧市街は、自然と文化と古い町並みの中で、ゆったりとした時を過ごせる場所でした。のんびりと散策を楽しみたい休日に、ぜひ再び訪ねたいところです。

1772~74年に作られたボロンガロ宮殿
1772~74年に作られたボロンガロ宮殿

A.OAyako
九州出身。2003年よりフランクフルト在住。ヒマさえあれば美味しいお店の開拓とダンスに明け暮れている。旅行・映画・仕事など、人生を楽しくしてくれるものは何でも好き。
 
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