フランクフルトの通称「博物館通り」(Schaumainkai)にあるシュテーデル美術館が、今年で創立200周年を迎えました。銀行家であり香辛料商人でもあったヨハン· フリードリヒ· シュテーデルが、自宅と美術コレクションのすべてを寄贈するという遺言により基金を設立。その遺志が表明された記念日の3月15日、美術館は入場料を無料にし、200周年を来場者とともに祝いました。
記念品や子ども向けグッズが配布され、入館前からお祝いムード
3月11日から始まった特別展「モネ・印象派の誕生」や、著名人が美術館所蔵のお気に入り作品を発表するイベント「私のシュテーデル」、2mの巨大なバースデーケーキとオーケストラの生演奏など、多彩なプログラムで美術館の誕生日を盛り上げました。
開館時間前でも、すでに門から1ブロックほど続く長蛇の列。長らくフランクフルトに住んでいる私も初めて見るほどの行列で、200周年のお祝いを楽しみに来た老夫婦や、特別展を目当てに来た学生、子ども向けイベントに参加する家族連れなど、あらゆる年代の人々が今か今かと入場を待っています。スタッフが記念品や子ども向けグッズを配り、待っている間もお祝いムードを味わえました。行列に並んででも記念日に訪れたいという来場者の様子に、美術館が多くの人に愛されていること、そして200周年イベントと特別展への関心の高さがうかがい知れました。
記念日は美術館を挙げての祝賀行事のため多くの人で混み合い、じっくりと鑑賞することができなかったため、別の日に改めて展示を見に行きました。平日の朝にもかかわらず来場者が絶えることなく、その集客力の高さに驚きました。私も興味があった特別展では、モネを中心に印象派の画家の作品を初期のものから晩年作まで、年代別に紹介。当時の写真や、印象派を揶揄した風刺画なども交え、印象派の変遷をじっくりと鑑賞することができました。昼には来館者でいっぱいになるので、ゆっくり見たいという方には、朝の早い時間帯がお勧めです。
記念日には1万人を超える人が美術館を訪れました
200周年を迎えるに当たり、美術館ではデジタルコンテンツにも注力。私も自宅で専用アプリをダウンロードし、ホームページのデジタル美術館で気になる作品情報を事前に確認してから行きました。残念ながら、まだすべてのコンテンツが使える状態ではないのですが、美術に疎い私でも、時代背景や作品が与えた影響など、美術史全体の流れから作品をとらえることができました。
4月11日には、フランス人DJを招いてのイベントもあり、印象派の絵画とエレクトロ音楽のユニークな共演が予定されています。今後もデジタルコンテンツや、独自のイベントを充実させていくとのことで、200周年を迎えてもなお、進化し続けるシュテーデル美術館の発展が楽しみです。
www.staedelmuseum.de
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。