フランクフルトの通称「博物館通り」にある、シュテーデル美術館。200年以上もの歴史を誇るこの美術館では、コロナ禍でも芸術が楽しめるよう、さまざまな工夫がなされています。
3月末現在は事前予約が必要なものの、マスクを着用し、氏名や連絡先を提出すれば来館可能です。館内ガイドツアーは休止中ですが、アプリをダウンロードすれば自分のスマートフォンやタブレットからオーディオガイドを利用できます。ガイドアプリはコロナ禍以前から提供されており、ドイツ語をはじめ英語やフランス語、スペイン語など、多言語対応です。
タブレットにダウンロードしたオーディオガイドで館内を巡ります
また来館しなくても自宅から参加できる、オンラインガイドツアーも行われています。毎週金曜日の午後4時から約1時間、コレクションのハイライトを紹介しながら巡るデジタルツアーでは、常設展と特別展の2種類のプログラムを提供。ほかにも、女性アーティストをテーマにしたライブツアーや、子どもと一緒に参加できる家族向けのオンラインツアーも開催されています。4月以降の予定は発表されていませんが、今後もこうしたオンラインイベントは定期的に開催される予定です。
美しい中庭もシュテーデル美術館の魅力です
オンライン館内ツアーにとどまらず、去る3月19日には芸術と音楽を融合した無観客音楽ライブイベント「About Humans」がストリーミング配信されました。このイベントは、フランクフルト交響楽団との共同プロジェクトで、ベートーヴェンとアルヴォ・ペルトの楽曲が館内から中継で演奏されます。それと共に「人間」をテーマとした芸術作品を鑑賞できるようなライブとなっていました。無料配信された本イベントは、開始前から450名を超える人々がユーチューブ上に待機するほどの盛り上がり。配信中も世界各地からの視聴者のコメントが流れ、自宅から芸術と音楽の素晴らしいコラボレーションを楽しむことができました。
オンラインコースのクイズ
シュテーデル美術館では、イベントのみならず教育にも力を入れており、2016年11月からは「Kunstgeschichte online–der Städel Kurszur Moderne」と題した美術史コースをドイツ語と英語で無料提供しています。ただ時系列に美術の歴史を学ぶのではなく、絵画の見方や、作品と作者の関係性、収集と展示など、五つのモジュールを学ぶことで総合的に芸術を知ることができる構成となっています。動画やテキストに加えて、パズルや記憶ゲームなど、能動的に参加できるプログラムが魅力です。ほかにも、子ども向けアプリなどのサービスも充実。いつでも芸術を提供してくれるシュテーデル美術館のデジタルコンテンツは、コロナ禍にこそ利用してほしい魅力あるサービスです。
シュテーデル美術館:https://staedelmuseum.de
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。 Twittter : @nikonikokujila