フランクフルトの通称「博物館通り」と呼ばれるシャウマインカイ(Schaumainkai)に、ドイツ映画博物館(Deutsches Filmmuseum)があります。ドイツ初の映画博物館として、開館以来300万人以上の来場者が訪れています。2009年から、改装工事のため休館していましたが、2011年に再オープン。装い新たに、映画や撮影技術、映画の歴史など、その魅力を存分に紹介しています。
常設展では、室内の照明が抑えられ、まるで映画館のような空間を再現。フィルムや投影機、カメラの歴史を紹介する展示では、実際に自分で機械を動かすこともできました。古い幻灯機から映写機まで、時代を追うごとに進化する技術を追体験できました。
グロテスクで恐ろしい形相ながら、目が釘付けになるエイリアン
そんな常設展の中でも私が特に心惹かれたのは、映画の衣装や小道具の展示です。1979年公開のリドリー・スコット監督作品『エイリアン』の撮影で実際に使用されたエイリアンや、ジョージ・ルーカス製作総指揮『スターウォーズ』のダースベーダーのマスクなど、「うわあ、本物だ」と思わず声を上げそうになるほど、興奮してしまいました。また、ティム・バートン監督作品『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の主人公ジャックも展示されており、指の関節から歯の1本1本に至るまで実に細かく作られ、今にも動き出しそうなほど生き生きとしていました。ほかにも、スクリプトやデザイン画など、普段は目にすることのない映画製作の舞台裏を垣間見ることができ、映像や音楽、美術、演技、衣装から映像編集に至るまで、総合芸術ともいわれる映画の全体像をじっくりと知ることができました。
特別展は、来年1月31日まで、映画とビデオゲームをテーマにした「Film und Games」展を開催中です。ゲーム展というと、ゲーム好きの人が集うような専門的なイメージですが、この特別展では、映画とゲームの相互作用を軸に、ゲームが原作の映画や、反対に映画が原作のゲームを紹介しています。実際の映画とゲームの映像を比較したり、様々な映画作品中に登場する架空のゲームシーンだけを集めて上映したりと、ビデオゲームをしない人でも楽しめる展示内容でした。
最上階にはワークショップを行うスペースがあり、何もない背景に映した自分の姿に、異なる背景の映像を当てはめて合成映像を作ったり、デジタル映像を使ってショートフィルムを作ったり、映画製作の体験ができました。
今にも歌い出しそうなジャック
また、地下には実際の映画を上映する映画館もあります。ミニシアター系の作品や過去の名作、児童映画作品、独自のテーマに沿って集められた作品など、個性溢れる魅力的なプログラムが連日上映されており、上階の展示を見た後に鑑賞すると、感慨もひとしおでした。
www.deutsches-filminstitut.de/filmmuseum/2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。