ジャパンダイジェスト

日本酒バー「J'epoca SAKAbar」

フランクフルトのザクセンハウゼン(Sachsenhausen)地区にある「J'epoca SAKAbar(イェポカ サカバー)」は、飲み仲間だった嶋村ちひろさんと向出真由子さんが、今夏オープンさせたフランクフルト初の日本酒バーです。通りに面した大きな窓や、店員さんが行き交うカウンターキッチン、落ち着いた色調の木製テーブル席と1人でも気軽に座れるカウンター席、心がこもった手書きのお薦めメニュー。温かい活気に包まれた店内では、一見さんから常連客まで、ドイツ人も日本人も一様においしい酒と料理に酔いしれています。お店のメニューにある酒は、海外で日本酒を提供・販売するための専門知識を有する「国際唎酒師(ききざけし)」の資格を持つ向出さんが、故郷石川県の地酒を中心に、直接酒蔵に赴いて厳選した日本酒です。

カウンター席
店員さんとも話しやすいカウンター席、1人でも気軽に立ち寄れる

お品書きにも日本酒の製造過程や各銘柄の特徴などが記載され、読んでいるだけで楽しくなります。辛口好きの私は、同じく辛口好きの店員さんの勧めで3種類のお試しセットを注文しました。同じ辛口でも、香りも味わいも後味も三種三様で、いずれも甲乙つけがたいおいしさでしたが、「3年古酒」という酒が、味と香りのバランスが良く一番好みの味でした。九谷焼の器に入って供されるのも趣があり、酒が一層おいしく感じられました。日本酒はもちろん、九谷焼などの伝統工芸品も店内で購入することができます。

お試しセットに続き「超辛」を冷やで飲みましたが、際立つキレと爽やかな風味が食事とも相まって、至福の味わいでした。さらに、店員さん一押しの「辛口にごり酒」を熱燗でいただきました。にごり酒は冷やで甘口と思い込んでいましたが、予想外のしっかりした辛口で、燗にすると香りがふわりと立ち上がり、絶品でした。また、秋限定の「ひやおろし」を2種試しましたが、どちらも落ち着いたまろやかな香りと、それぞれに特徴あるうま味が素晴らしく、秋らしいおいしさが堪能できました。

酒の種類が多いのは1番の魅力ですが、料理もまた美味。だし巻き卵や煮豚などのつまみから、おでんや牛丼など日によって替わる食事まで、調理担当の嶋村さんの、季節の食材を取り入れたおいしいメニューも楽しみの一つです。冬には鍋や湯豆腐も提供予定とのことで、ドイツの寒い冬に「鍋と日本酒」などと考えただけで嬉しくなってしまいます。

伝統工芸品
日本酒やおちょこなどのグッズ、伝統工芸品を売るブース

多くの人に日本酒を飲んでもらおうと、試飲会をはじめ絵画展示即売会など、様々なイベントも開催しています。一度訪れただけでは飲み切れないほど種類が 豊富な日本酒は、季節限定のものや、今後は北陸の酒も取り扱いたいとのこと。定期的に通って、いろいろな日本酒を味わいたいと思います。

http://jepoca-sakabar.eu

ユゴ さや香
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。
 
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