ジャパンダイジェスト

オペラ座の舞台裏、総合芸術の大プロジェクト

きらびやかな衣装と舞台装置、音楽とお芝居の総合芸術であるオペラ。ハンブルク州立オペラ座では、数年前から月に数回の舞台裏見学会が行われるようになりました。毎日10~13時は舞台稽古が行われ、その後は当日の演目のための舞台の準備が始まるので、その合間を縫う形で、見学会は毎回必ず13時半から。全部で1時間半ほどのツアーです。美しい客席部分と舞台の背後には、地下3階、地上8階に渡って、たくさんの部屋と倉庫があり、全部で700名ほどの人が働いているそうです。

集合場所は舞台入口
集合場所は舞台入口。オペラ座脇の道路の奥にあります

まずは客席最前列にて、オーケストラピット、照明、音響、字幕システムについての説明があります。スポットライトは、ジェットコースターの座席に付いているようなシートベルトをして操作しているとのこと。実際に見せてはもらえませんでしたが、リスクを伴う仕事だと思いました。舞台上では、近々初演される予定の舞台美術が、ちょうど地下3階から上がってくるのを点検しているところでした。近くで見ると、それぞれの舞台装置や大道具には何の演目に使われるのかがきちんと書かれています。確かに、毎日演目が変わるのですから、その管理も大変な仕事です。

大型の舞台装置は、オペラ座内に入りきらないので、郊外の倉庫で管理しています。舞台は幅よりも奥行きが深く、普段公演で使われているのは、前方部分の3分の2くらいではないかと思いました。そして驚いたことに、舞台の奥にもう1つ、練習用舞台があるのです。これなら、表でその日の公演の舞台美術の準備をしている時間帯でも、別の作品の立ち稽古をすることができます。

地下には小道具の倉庫があり、演目ごとに分けられて、台車に乗せられていました。背後の建物には、コーラスやオーケストラの練習室、バレエのレッスン室、楽器庫などがあり、なんと社員食堂まであります。楽屋は、ソリスト用、コーラス男性、コーラス女性などと分けられていました。特に興味深かったのは、衣装制作現場。100名以上の人が縫製に携わっており、年間800~1000着の新しい衣装を制作しているそうです。オペラでは、同じ演目を日によって別の人が演じることがありますので、それに応じた衣装の補正も彼らの仕事です。ほかにも、メイク室や事務所など多くの部屋があって、オペラ座内はまるで迷路のよう。案内担当の方も、覚えるまで1カ月かかったとおっしゃっていました。写真撮影禁止の場所が多く、読者の皆さんに舞台のスペクタクルや衣裳部屋をお伝えできないのが残念です。興味のある方は、ぜひご自身で足を運んでみてください。

小道具の1つ
これも小道具の1つだそう

背後の通路
背後の通路は殺風景

井野 葉由美(いの はゆみ)
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?
www.nd-jcf.de
www.facebook.com/ndjcf

 
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