河口から150㎞もさかのぼっているにもかかわらず、ハンブルク港はロッテルダムに次ぎ、欧州で2番目に大きい港です。この港に停泊し、博物館として公開されている大きな船は2隻ありますが、今回はそのうちの1つ、Cap San Diego号をご紹介しましょう。
青空に白い船体が美しく映えるCap San Diego号
白い船体が放つ美しさから「白鳥」とも呼ばれるこの船は、現在も航行可能な博物館貨物船としては世界最大規模で、その長さは159.4m、幅は21.47mにも及びます。1961年に欧州と南米を結ぶ貨物船として建造され、1986年までの25年間で実に120回もの航海を重ねました。同年に博物館としてハンブルク港に停泊することが決まり、現在に至ります。
毎日10:00~18:00の間、船内が公開されており、エンジンルームや貨物庫、乗組員の部屋、食堂、台所、デッキなどが見学できます。デッキには小さなプールもあり、航海していた当時の船上での乗組員たちの生活が偲ばれました。
操縦室の内部
私の想像と大きく異なっていたのは、操縦室です。大きな舵があり、飛行機のコックピットのような難しい計器が前面に並んでいるものと思っていたのですが、実際には簡素ですっきりとしていて、隣にある小さな測定室の方に計器が集中していました。ここでは、現役の乗組員たちが働いています。貨物船なので貨物庫のスペースが広く、そこを利用して写真展などの特別展が開催されることもあるようです。
船は何層にもなっていますが、各階の移動手段は狭い階段のみなので、ベビーカーのお子さんを連れての見学は難しいなと感じました。見学の途中で疲れたら、ビストロで休憩することもできます。
いつもエルベの川岸でその姿を眺めていたCap San Diego号ですが、今回初めて船内を見学して気付いたことがあります。このような船舶がレストランになっていることは、よくありますが、この船はなんとホテルになっていて、宿泊が可能なのです! シングル1泊78ユーロ~(朝食別料金)とのことですので、クルージングに出たつもりでハンブルク滞在の思い出に利用してみるのも一興かもしれません。ただ、もともとは貨物船なので、部屋はそれほど広くなく、寝心地が良いかどうかは保証できませんが……。
毎年5月に行われるハンブルク港祭りや、折に触れて開催されている1日航海プログラムを利用して乗船することもできますが、それなりのお値段がするようです。通常の見学料は大人7ユーロ。このように、船にまつわる博物館や遊覧船が多いのは、港町ハンブルクならではの魅力だと思います。
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?