ジャパンダイジェスト

離ればなれの親子のためのプロジェクト「Mein Papa kommt 」

お笑いコンビの千原兄弟が「離婚式」というコントで、 結婚式をモチーフに「離婚した夫婦の儀式」をシニカルに演じています。他人同士が家族になることや、子どもの成長を見守る過程では、たくさんの幸せに出会うことができます。しかし、その後に「離婚」という選択が訪れたら、家族は、子どもたちはどうなってしまうでしょうか。今回のレポートでは離婚した家庭の子どもをサポートする取り組みを紹介します。

ドイツでは毎年13万人以上の子どもたちが両親の離婚を経験しています。離婚という決断によって一変させられる、子どもたちの生活。どちらの親と一緒に暮らすのか、新しい家族が加わるのか、住み慣れた部屋から出ていくのか。それによって引き起こされる社会的地位の変化や、物や人への愛着の変化は、依存症や精神的なトラブルに繋がるとも指摘されています。

それでも親子の繋がりは続くそれでも親子の繋がりは続く

子どもたちは、離れて暮らす親と定期的に会う機会が保証されます。しかし、いくら会いたい気持ちが強くとも、経済的、精神的、時間の負担とは切り離せません。何時間も電車とバスに揺られ、ホテルに宿泊して帰るとなると、 会う頻度が減ってしまうことも。

前置きが長くなりましたが、プロジェクト「Mein Papa kommt(私のパパがやってくる)」では、そんな離ればなれの親子を支援するために2つのサービスが提供されています。1つは、コミュニティに登録をしたメンバーによる宿泊先の提供。これにより、家族に会うための滞在費が節約できます。2つ目は、子ども部屋の提供です。小さな子どもを連れて、落ち着く場所を探しながら街中を歩いた経験はありませんか?そんな時、おもちゃや絵本で遊びながら気兼ねなく過ごせる場所はありがたいでしょう。

MeinPapa kommtMeinPapa kommt

実は、わが家もこのコミュニティーに参加しており、これまで何組かのゲストにベッドを提供しました。そのなかに、父親と暮らす10代の息子に会いに来たお母さんがいました。彼女は滞在中、息子と一緒に料理をし、同じ屋根の下で寝て、朝ごはんを食べていきました。僕が家に帰ったとき、お母さんからの丁寧なお手紙と冷蔵庫の中にお裾分けを見つけました。2人でどんな話をしたのかなあと思いながら、彼女が作ってくれたおいしいパッタイを食べました。

尊敬するパートナーに巡り会え、愛情を注げる子どもたちに恵まれたとはいえ、僕の元に「離婚」という選択がやってこないとは言い切れません。もし離婚することになったら子どもたちとの関係はどうなるのか、と考えることもあります。当たり前のような家族の風景は、絶妙なバランスの上に成り立っている。そのことを、ゲストを迎えるなかで教わりました。この取り組みに興味を持たれた方がいたら、ぜひウェブサイトを覗いてみてください。簡単な登録でプロジェクトに参加可能で、反対にサポートを探すこともできます。

Mein Papa kommt: www.mein-papa-kommt.info

国本隆史(くにもと・たかし)
神戸のコミュニティメディアで働いた後、2012年ドイツへ移住。現在ブラウンシュバイクで、ドキュメンタリーを中心に映像制作。作品に「ヒバクシャとボクの旅」「なぜ僕がドイツ語を学ぶのか」など。三児の父。
takashikunimoto.net
 
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