ジャパンダイジェスト

ハノーファー王朝の成立300周年

今年はイギリス・ハノーファー王朝が成立してからちょうど300年。これは、ハノーファーの選帝侯ゲオルク1世が、714年にハノーファーとイギリスの王を兼ねることになり成立した王朝です。300周年を祝い、現在市内4カ所と近郊のツェレ市の博物館で共同企画展「イギリス王家におけるハノーファーの支配者(Hannovers Herrscher auf Englands Thron 1714-1837)」が開催されています(10月5日まで)。同展は英国王室のチャールズ皇太子が後援し、ヨーク公爵アンドルー王子がハノーファーを訪問、街中には英国国旗がはためくなど、英国ムードで満たされています。

ハノーファー王朝
街中でもハノーファー王朝を紹介

300年前、英王室には女系の成員しかいなかったため、ハノーファーのゲオルク1世に白羽の矢が立てられたというのが、ハノーファー王朝の始まりです。王朝は5代にわたって123年続きました。この王朝について歴史の授業で習い、覚えているという人も多いでしょう。

展覧会のメイン会場は州立博物館。ここでは歴代の王ゲオルク1世、ゲオルク2世、ゲオルク3世、ゲオルク4世、ヴィルヘルム4世の素顔を紹介しており、絵画やコイン、食器をはじめ、1700年代のオリジナル書簡や公布文書など、貴重な史料が並びます。当時の王家の繁栄を偲ばせる、赤いビロードがきらめく王冠もあります。このほか、現在は州議会議事堂となっているライネ城の絵も飾られていて、昔のハノーファーの様子を垣間見ることができます。展示物の説明は独英併記です。

ヘレンハウゼン城博物館
ヘレンハウゼン城博物館での展示

1815年のワーテルローの戦いでは、ドイツ唯一の軍隊としてハノーファーからキングスジャーマン軍が参戦しました。英軍と一緒にナポレオン率いるフランスを相手に戦い、彼を打倒することに貢献しました。州立博物館の展覧会では、ハノーファー軍は市内にあるワーテルロー広場に集まり、ここからベルギーのワーテルローに向けて出発したという史実も紹介されています。

関連展示は、ヘレンハウゼン城博物館や歴史博物館、ヴィルヘルム・ブッシュ博物館、ハノーファー市から北東へ40kmほどの場所に位置するツェレの城レジデンス・ミュージアムでも開催されています。入館料はそれぞれ4.50ユーロから10ユーロで、5館共通チケットなら16ユーロ。10月5日までの会期中ずっと有効です。その他、関連のワークショップや演劇も催されるなど、市を挙げて英国との繋がりを歓迎しているようです。以前から、ハノーファーにはイギリス通の人が多いなという印象は持っていましたが、距離的に近いからだけではなく、共通の歴史があるからなのかと改めて認識した次第です。皆さんも、この機会にハノーファー王朝の歴史に想いを馳せてみませんか?

www.royal-aus-hannover.de

田口理穂(たぐち・りほ)
日本で新聞記者を経て1996年よりハノーファー在住。社会学修士。ジャーナリスト、ドイツ語通訳。著書に『市民がつくった電力会社: ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命』(大月書店)、共著に「お手本の国」のウソ(新潮新書) など。

 
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