ジャパンダイジェスト

礼拝のない日はイベント会場に!? 二つの顔を持つ文化教会

聖書の中に、イエス・キリストが、神聖な場所である宮(教会)で人々が商売をしているのを見て、「私の家は祈りの家でなければならない」と言って、彼らを追い出したという話があります。教会は礼拝を守り、静かに祈りを捧げる場所というのが一般的な教会像だと思いますが、ハンブルク市アルトナ地区にある「Kulturkirche」(文化教会)は、そのイメージからはちょっと離れた活動をしている教会なのです。

ネオゴシック建築の聖ヨハニス教会ネオゴシック建築の聖ヨハニス教会

この「文化教会」は、二つの顔を持っています。一つは、アルトナ地区ルター派プロテスタント教区に属する聖ヨハニス教会としての顔。創立1873年以来ずっと日曜日の礼拝を守り、宗教的活動を行っています。もう一つは、非営利団体「Kulturkirche Altona」としての活動。芸術・文化の促進を目的とし、教会としての活動がない日に会堂をイベント会場として貸しています。さまざまなジャンルのコンサートをはじめ、演劇や朗読会、映画会、結婚式、プライベートなパーティーや会社の集まりなどにも使用され、ファッションショーが開催されたこともあるそうです。

躍動感あふれる光のショー躍動感あふれる光のショー

1998年、この教会はドイツで最初の文化教会としてスタートしました。このような二重の教会堂の使用という新しい試みは、当初は大きなチャレンジだったようですが、借りる側は教会の独自のルールを受け入れ、教会側も外部にその門を開きました。お互いに尊重し合うことで、25年間このスタイルを続けてこられたのでしょう。2011年に非営利団体として認められてからは、賃貸だけでなく、文化教会主催のイベントも企画されています。文化、芸術をもっと多くの人が気軽に楽しめるようにと、入場料がほかのコンサートホールなどに比べると低価格。そして、賃貸などで得た収入は、教会建築の維持費などに使われています。

ヴィヴァルディの「冬」の色に染まった会堂ヴィヴァルディの「冬」の色に染まった会堂

先日この文化教会で、スイスのアーティスト集団「Projektil」による、視覚と聴覚で体験する光のショーを見ました。ヴィヴァルディの名曲「四季」の躍動的な音楽に合わせて、会堂の天井から隅々まで動く映像が、古い荘厳な教会建築にマッチして、人々を不思議な世界に引き込んでいきます。まるで自分が映像の中に溶け込んで一緒に動いて行くような感覚にとらわれました。何列も並ぶ長椅子のほかに、会堂の前方には大きなクッションがいくつも置いてあり、自由に座ってくつろぎながら鑑賞できるのも良かったです。

訪れた日は週の半ばでしたが、ほぼ満員で大盛況。普段の礼拝の時はこんなに人が集まらないかも知れません。文化教会の活動を通して教会に興味を持ち、「今度は礼拝でパイプオルガンの讃美歌を聞いてみたい」と思う人が来るかもしれないから、きっとイエス様も許してくれるのではないかなぁ、と思いを巡らしたのでした。

Kulturkirche Altona:https://kulturkirche.de

岡本 黄子 おかもと きこ
ハンブルグ郊外のヴェーデル市在住。ドイツ在住38年。現地幼稚園で保育士として働いている。好きなことは、カリグラフィー、お散歩、ケーキ作り、映画鑑賞。定年に向けて、第二の人生を模索中。

 
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