私が住んでいるライプツィヒの中央駅は1915年12月に開業して、今年で110周年を迎えます。ライプツィヒ中央駅は欧州でも有数のホームが全て正面に並ぶ構造の大きな駅で、一日1300本ほどの列車が発着し、約12万人の人が利用しています。延べ床面積は約8万3000平方メートルで、駅の建物としては欧州最大級の広さを誇ります。規模や構造に加えて、美しい石造りのファサードや優雅なアーチ天井など、建築としての価値も高く評価されています。
ライプツィヒ中央駅構内
戦時中の1944年には、空襲で駅舎にも人命にも大きな被害が出ましたが、徐々に改修が進められ、1960年に線路上の屋根が完成し、復旧が完了しました。現在の中央駅の姿は1997年の改装後のものです。
私は鉄道の旅が好きで、これまでドイツを含め多くの駅を訪れてきましたが、地元びいきを差し引いても、ライプツィヒ中央駅の美しさは格別です。驚くほど高い天井、広々とした構内の空間は、ほかの駅にはない荘厳さがあります。私はこの独特な空間が大好きで、人の少ない早朝に駅を散歩しにくることも。
書店「Ludwig」に併設されたカフェにて
中央駅で時間があるときには、構内にある書店に併設された「Ludwig Café」に寄ることもしばしば。歴史的な建物の中でゆっくりコーヒーを飲めるお気に入りの場所で、この記事も今まさにLudwig Caféで書いています。もう一つ、中央駅の雰囲気に浸りながらコーヒーを楽しめるのが、ホームと同じ階にあるスターバックス。どちらも以前は列車の待合室として使われていたぜいたくな広々とした空間で、ここで本を読んだりジャーナリングしたりする時間は格別です。
中央駅にはベーカリー、ケバブ、アジア料理店など、カジュアルに楽しめる飲食店が充実していて、家族で訪れるのにもおすすめです。私のお気に入りは、お肉屋さんのスープと、インドレストランのビュッフェ。どちらも10年近く前にライプツィヒに暮らし始めた頃、寒い日にライプツィヒに戻ってきて、おなかと心を温めてくれた思い出の味です。今でも時々懐かしくなって食べに行くことがあります。
ホームの端に設置された鉄道展示コーナー
子どもが小さかった頃には、昔の列車や駅の歴史が展示されている一角もよく訪れました。ライプツィヒ在住の親子にとっては、おなじみのスポットです。今でも冬の寒い休日などには、子どもを連れて駅の中を散歩することがあります。広い構内は屋根付きの遊び場のようで、ちょっとしたお出かけ先として重宝しています。
ライプツィヒに住んでいる方も、ライプツィヒを訪れる予定の方も、110年の歴史が息づくこの美しい駅で、ぜひ一度ゆっくりコーヒータイムを楽しんでみてはいかがでしょうか。
IT系の翻訳者・プログラマー。オーストリア、インドを経てドイツへ。ライプツィヒには2016年より在住。三度の食事と、手に入らない食材を自分で育てるのが何よりの楽しみ。古巣のアート分野に戻りつつある。