コロナ規制による陰鬱なムードも今年はほとんど感じず、クリスマスの準備やイルミネーションを楽しんでいる人も多いのではないでしょうか。
毎年12月に入ると、クリスマスコンサートや有名なバレエ作品の上演がドイツ各地で開催されますよね。本誌1158号で紹介させていただいたバイエルン国立歌劇場のような大迫力のオペラ座はもちろん、アットホームな雰囲気の小さなコンサートも良いものです。
私も最近、お気に入りの劇場を見つけました! ミュンヘンの中心、カールス広場( 通称シュタフス)にある「MünchnerKünstlerhaus」(ミュンヘン・芸術家の家)です。この建物の2階にあるメインホールは、客席の床面積が240平方メートルとこじんまりしていますが、壁の力強い赤だいだい色が映えてとても華やか。1階のロビーも、階段上の天井もゴージャスで、どこに立っていても見とれてしまいました。
歴史あるKünstlerhausの豪華な内装
ネオルネサンスの面影が残るKünstlerhausは、1900年にバイエルン王国の摂政王子ルイトポルトが創設。以来、ミュンヘンの画家や彫刻家、音楽家などの芸術家に対して、活躍の場を提供しています。第二次世界大戦中に大きなダメージを受けたものの、Münchner Künstlerhaus財団により修復され、1962年に再開しました。2000年頃からは、芸術関係に限らず、結婚式やカンファレンス、発表会、交流イベントなどであっても、気軽に会場を借りられるようになったとのこと。このような会場でのお祝いごとは、一生の思い出になりそうですね。
鮮やかな会場は息をのむほどの美しさ
今回は、ジャパン・ナショナル・オーケストラ(JNO)の記念すべき初のドイツツアーの1公演目を鑑賞しに行ってきました。JNOは、2021年のショパン国際ピアノ・コンクールで日本人として半世紀ぶりの第2位を受賞した、28歳のピアニスト反田恭平さんが設立。コンサートでは、モーツァルトやボッケリーニなどの作品に加え、「赤とんぼ」や「故郷」など、邦楽のアレンジを披露しました。JNOのオーケストラメンバーの平均年齢は27.5歳。日本の若いプロ音楽家たちによる心地良い音色が会場に響き渡り、会場中を魅了していました。
Künstlerhaus では、12月から1月にかけてもジャズやカバレット(コメディーショー)、子ども向けプログラム、美術展、ダンス、コンサートなど、さまざまなプログラムが予定されています。長くて寒いドイツの冬を乗り切るためにも、定期的に足を運びたくなりそうです。
ミュンヘン生まれ、10歳ごろから京都育ち。大学卒業後、再びミュンヘンに戻る。もともと異文化教育や日独間のコミュニケーションに興味があり、ドイツのPR会社Storymakerに就職。J-BIG編集部として、在独日系企業の情報発信も行っている。 www.j-big.de