バカンスシーズンもピークを迎えたミュンヘンでは、暑さも少しずつ和らぎ、これから秋の気配を感じる季節に移り変わってきますね。今回は、私のミュンヘン暮らしの中での楽しみの一つ、のみの市(Flohmarkt)についてご紹介します。
ドイツでは昔から古いものを大切にする文化がありますが、ここミュンヘンでも1年を通じて大小さまざまなのみの市が開かれており、そうした古いものたちと出会う機会があります。なかでもアウアードルト(Auer Dult)やテレージエンヴィーゼ(Theresienwiese)で開催されるのみの市は特に有名で、規模の大きさや回数の多さから、ミュンヘン在住者だけでなく郊外からも毎回たくさんの人が訪れます。
のみの市の形態は、主に銀のカトラリーや古い陶器、アンティーク家具などが売られている「アンティーク· 骨董 市」や、各家庭から持ち込まれるものが所狭しと並ぶ「がらくた市」などさまざま。私は、それぞれの品がどこでどのように使われてきたかなど、ものの背景にあるストーリーを知るのが楽しくて、出店者の方と会話をしながら、思いがけない掘り出しものに出会うことを楽しみにしています。
そんな数あるミュンヘンののみの市のなかでも、私のイチオシはミュンヘン中心部から車で20分ほど東に向かったダグルフィン地区で毎週金曜日と土曜日に開催される「Antik- & Flohmarkt Daglfing」です。こののみの市が開催される地区は、乗馬クラブや警察の騎馬隊の 厩舎 、馬具店などが集まる、ミュンヘンでも馬関連の産業が盛んなエリア。付近一帯には馬専用の道路もあり、畑の中を元気よく馬が走っている姿をよく見かけます。
視線を移すとトラック上を馬が走っている姿が
のみの市が開催されるのも、なんと林の中にある競馬場の敷地内。やわらかい木漏れ日を浴びて、鳥たちの声を聞きながら、地元の人々との会話や掘り出しもの探しを楽しむことができます。ちょっと疲れたらトラックをてくてく走る馬たちを眺めたり、併設のビアガーデンでビールを飲んで休憩したりと、とてもリラックスした雰囲気です。
数ある品物の中からお気に入りを探すのも楽しみ
先日ここを訪れた際には、フクロウ好きのおばあちゃんが作ったフクロウ柄の刺しゅうが入った写真立てと、そのお孫さんが集めたフクロウの置物が所狭しと並ぶブースに出会いました。また、バイエルンの民族衣装レダーホーゼ(Lederhose)が売られているブースでは、その場でひげ剃りの実演を行っていました。ちょうど年配のお母様にひげ剃りを勧められた息子さんが、照れながらひげを剃ってもらっていて、見ていてほっこりしてしまいました。
温かみのある手作りのフクロウ柄の刺繍
このように、一般的なのみの市とはちょっと違う雰囲気を味わえるダグルフィンののみの市。これからの季節に、皆さんもご家族やお友だちとぜひ足を運んでみてください。
駐在員として赴任したミュンヘンで、自然や文化、人々に魅了され、2019年に完全移住。「ミュンヘン山の会」のメンバーとして月に1~2度ハイキングを企画したり、山歩きの魅力やミュンヘンでの日常生活を発信したりしている。
Instagram:@yama.trip.music_kou