ジャパンダイジェスト

メルセデス・ベンツ博物館前で映像と音楽の3Dショー

6月2日22時15分、シュトゥットガルトのメルセデス・ベンツ博物館前で「インテル・ ウルトラブック 3Dツアー」が始まりました。これは映画館で眼鏡をかけて観るような、いわゆる「3D映画」ではなく、ここ10年程でポピュラーになってきている、建物の壁面などに映像を投影するプロジェクションマッピングのことです。

今から1年程前、自動車誕生125周年の記念イベントとしてダイムラーの本社ビルでも行なわれたこのショー。今回の舞台は、かの有名なメルセデス・ベンツ博物館です。高さ47メートル、幅約70メートルの西側の壁面をスクリーンにして映し出すのですが、利用できない窓ガラス部分が大きいため、壁面をいかに利用するか、設計者の腕が問われます。

1000人を超える来場者が博物館前の広場を埋め尽くし、躍動感溢れる音楽に合わせて体を動かしながら、いよいよ鑑賞タイム。観客の目の前で建物の壁が映像の錯視効果によって凸凹になったり、急に大きな穴が開いたり、その穴から巨大な植物が生長したり……。また別のシーンでは無数のボールが重力にしたがって最上階から跳ねながら下の階へ落ちていったり、時折建物が大爆発を起こしたりと、真に迫る完璧な演出で、私も目の前の現実を忘れ、映像を使ってパフォーマンスを行なう「ビジュアルジョッキー(VJ)」が作り出す感動的なファンタジーの世界に入り込んでしまいました。

シュトゥットガルト
メルセデス・ベンツ博物館の建物が崩壊するシーン

ハイライトは、自動車開発の先駆者ゴットリープ・ダイムラーが自分の発明した初代の自動車を運転しながら、建物の最上階から螺旋状の通路に沿って悠々と一周ずつ下がっていく映像。最後は一番下まで来て、建物の外へと走り去っていきました。まるでスポットライトに当てられたように巨大な影を背景に映し出したこのシーンは、なかなか印象的でした。この博物館の最上階には実際に世界初の自動車が展示されていますが、3D の見事な演出によってそこに命が吹き込まれ、ストーリーとしてよみがえったのです。

広場の中央には音楽を担当するDJ たちの専用舞台もあり、彼らは様々な曲を継ぎ目が分からないように巧みにミキシングし、自らもノリノリの様子。映像プログラムの終了後も会場の熱気は下がらず、観客のアンコールに快く答えて、もう1曲サービスしてくれました。

気が付けば1時間以上に及んだショーは、観客の盛大な拍手とともに幕を閉じました。次回の上映スケジュールは未定ですが、今からとても楽しみです。

シュトゥットガルト
3Dショーを音楽で盛り上げるDJたち

郭さん郭映南(かくえいなん)
中国生まれの日本国籍。東北芸術工科大学卒業後、シュトゥットガルト造形美術大学でアート写真の知識を深める。その後、台北、北海道、海南島と、渡り鳥のように北と南の島々を転々としながら写真を撮り続ける。
HP: http://kakueinan.wordpress.com/
 
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