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ドかわいいドイツに、会いに行く<
かわいいドイツに、
会いに行く

久保田 由希

発行元:清流出版

 「かわいいドイツ」というイメージ、読者の皆さんはすぐにピンときますか? ルール工業地帯に近い、商業都市デュッセルドルフに暮らす私にとっては、日常の風景からはちょっと遠い「かわいいドイツ」。しかし、マルクト(市場)に並ぶ雑貨や、少し郊外に足を延ばして出会う風景の中には、「かわいい!」と胸がキュンとなる瞬間が確かにあります。その「かわいい」は、日本的なものとは違うし、パリやロンドンで見つけるものとも一線を画す気がする。もっとおおらかで、ナチュラルで、そしてちょっと懐かしい。

このツボを、ぐっと押さえながらドイツ各地の風景やアイテムを紹介しているのが、本書『かわいいドイツに、会いに行く』。著者の久保田由希さんは、「クボマガ」の通称で知られるブログを書いているのだが、そこではベルリン的なおしゃれライフが発信されていて、「素敵だわ!」と、ちょくちょくのぞいていた。その久保田さんがドイツの田舎を旅すると、どんな「かわいい」がアンテナにひっかかるのかな? と、本書を手に取った。

ここで紹介されている民芸品、雑貨、町並みは、ドイツの古き良き伝統と切っても切り離せないものばかり。それぞれのエピソードが、温かな体温を感じさせるのは、一貫して、久保田さんが現地に赴いて取材し、地元の人と丁寧にコミュニケーションをとっているからだろう。当地を初めて訪れる人にも分かりやすく、さらに、訪問の機会がまだない人も、本書を通して目で見て楽しめるようにと、町の様子について細やかな描写がされている。

ドイツの良さを再発見したい人にお勧めの穴場が満載。2冊目のガイドブックとして、重宝しそう。筆者が本書の中から、次の旅先に選ぶなら……と妄想し、選んだのは、ハノーファー近郊のアインベック!名産の型染めのファブリック、木組みの家が立ち並ぶ町並みに、ビールの名産地ときたら、もう行くしかない!

ここで紹介される「かわいい」の正体は、人々が「可愛い=愛しい」と大切にしてきたドイツの伝統だった。(編集部・高橋萌)


 
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