今年はひと味違う過ごし方を
ドイツの
クリスマスを楽しもう!
11月に入り街はクリスマス飾りでおめかしし、通りでプレゼントを抱えて歩く人を見かけたり、クリスマスもすぐそこですね。ドイツには、日本とは違うクリスマスのお楽しみが満載です。ドイツのクリスマスのことをもっと知って、いつもとひと味違うクリスマスを楽しんでみませんか?
(Text:編集部)
24 fakten zur Weihnachten in Deutschland
ドイツのクリスマスにまつわる24の事実
- 1ドイツには「世界最古」のドレスデン、「世界一有名」なニュルンベルク、「世界最大」のシュトゥットガルトの3大クリスマスマーケットがある(編集部調べ)
- 2毎年約370万人の来場者が訪れ、約300もの屋台が軒を連ねるドルトムントが「最も多くの人が訪れる」クリスマスマーケット(SAT.1 Gold:12 KURIOSE UND INTERESSANTE FAKTEN ÜBER WEIHNACHTEN)
- 3世界最古となるドレスデンのクリスマスマーケットは、1434年にザクセン選帝侯フリードリヒ2世によって設立された(Geschichte des Dresdner Striezelmarkts)
- 4クリスマスマーケットの予算は一人平均約30ユーロ(SAT.1 Gold:12 KURIOSE UND INTERESSANTE FAKTEN ÜBER WEIHNACHTEN)
- 5出生率が最も高いのは9月。つまりクリスマスシーズンに子どもを授かる人が多い(SAT.1 Gold:12 KURIOSE UND INTERESSANTE FAKTEN ÜBER WEIHNACHTEN)
- 6クリスマス時期の体重増加は平均でわずか約370g(SAT.1 Gold:12 KURIOSE UND INTERESSANTE FAKTEN ÜBER WEIHNACHTEN)
- 7ドイツのアルコール消費量は12月に36%増加する (SAT.1 Gold:12 KURIOSE UND INTERESSANTE FAKTEN ÜBER WEIHNACHTEN)
- 8世界で最も長いライベクーヘンは1052.3m (FloraQueen:10 interessante und lustige Fakten über Weihnachten)
- 9クリスマスには約41%のドイツ人が携帯電話やMP3プレイヤーなど、電子機器を贈る (Seitenwaelzer:10 fantastische Fakten über Weihnachten)
- 10ドイツ人の40%がクリスマスプレゼントを購入する。平均して5人にプレゼントを送る(Seitenwaelzer:10 fantastische Fakten über Weihnachten)
- 11ドイツ全土で毎年約7690万ユーロがクリスマスギフトに費やされている(Seitenwaelzer:10 fantastische Fakten über Weihnachten)
- 12ドイツの平均的なクリスマスツリーは164cm。クリスマスシーズンには約2800万本の針葉樹林が発売される(Seitenwaelzer:10 fantastische Fakten über Weihnachten)
- 13男性の34.4%が電化製品類、女性の28%が香水やクーポンをクリスマスプレゼントのウィッシュリストに挙げている(FloraQueen:10 interessante und lustige Fakten über Weihnachten)
- 14親が子どもに贈るプレゼントの予算は平均131ユーロ(myToys-Umfrage:Eltern geben pro Kind 131 Euro für Weihnachtsgeschenke aus)
- 151535年にマルティン・ルターがクリスマスプレゼントを贈る習慣を考え出した(WE STYLE:24 Fakten Zur Weihnachtszeit)
- 16ドイツ全土にイエスという名前の人物が約390人いる(WE STYLE:24 Fakten Zur Weihnachtszeit)
- 1740%のドイツ人がクリスマスイブにソーセージとポテトサラダを食している(Mammheimer Morgen: Hohe Kauflaune bei großer Zuversicht)
- 1845%の子どもたちがサンタクロースがプレゼントを運んでくると思っている(Allianz:O du fröhliche)
- 1968%の人が店舗でプレゼントを購入することを好み、12%の人がインターネットで購入することを好んでいる(Mammheimer Morgen: Hohe Kauflaune bei großer Zuversicht
- 20ドイツにはクリスマスポストが7つある(WE STYLE:24 Fakten Zur Weihnachtszeit)
- 2138%のドイツ人が贈り物が気に入らない場合でも正直に言えない (Allianz:O du fröhliche)
- 2237%のドイツ人がパートナーにクリスマスプレゼントを贈っている (Allianz:O du fröhliche)
- 2346%の人が10~11月の間にクリスマスプレゼントを用意する (EY:Weihnachtsgeschenke 2016)
- 24ドイツ人の81%がクリスマスを楽しみにしている (Presentationload:Infografiken zu Weihnachten)
ドイツのクリスマス、どう過ごしてる?
わが家のクリスマスの迎え方
お子さんのいるご家庭を中心にアンケートにご協力いただき、それぞれのクリスマスの過ごし方を教えてもらいました。今年のクリスマスを迎えるヒントにぜひ!
アンケートに協力してくれた人
国本隆史さん
滞在都市:ブラウンシュヴァイク
ドイツ在住歴:6年
今年のプラン:ドイツのおばあちゃんと一緒に手作りクッキー食べながら、プレゼントを交換する。
Mさん
滞在都市:ベルリン
ドイツ在住歴:10年
今年のプラン:幼稚園だけでなく、わが家でももみの木の飾りつけをしてみたい。
クニコさん
滞在都市:デュッセルドルフ
ドイツ在住歴:23年
今年のプラン:窓をきれいに拭いて完全清掃して、お正月のようにクリスマスを迎える。
Megumi.Tさん
滞在都市:デュッセルドルフ
ドイツ在住歴:12年
今年のプラン:子どもが少しずつ字を書けるようになってきたので、一緒にサンタさんへ手紙を書きたい。
M.K.さん
滞在都市:デュッセルドルフ
ドイツ在住歴:5年以上
今年のプラン:子どもを連れて、ケルンのクリスマスマーケット巡りを計画中。
クリスマスの飾りつけ
早いところでは、10月初旬にはクリスマス飾りが売られはじめるドイツ。部屋の中を思い思いに飾って、クリスマスを迎える準備をしましょう。
待降節のこと。イエス=キリストの降誕にそなえる準備期間で、11月30日に最も近い日曜日からクリスマス・イブまでの期間がそれに当たる。毎日曜は第一アドベント、第二アドベント、第三アドベント、第四アドベントと呼ばれ、アドベントを迎えるごとに四つのろうそくが立てられたリース「アドベントクランツ」のろうそくに1本ずつ火を灯す習慣がある。2018 年は12月2日(日)が第一アドベント。
アドベントクランツを手作りで
第一アドベントの前に、アドベントクランツ(写真下)を作ります。数種類のモミの葉をリースに巻き付け、乾燥オレンジやりんご、秋に集めておいた木の実や苔むした枝、ガラス玉などを飾ります。アドベントを迎えるごとに火を灯していくのは、キリスト教徒でなくても厳かで、クリスマスを楽しみにする気持ちを高揚させてくれます。(クニコさん)
クリスマスマーケットで飾りを購入
アドベントが始まる頃になると、クリスマスマーケットで購入したちょっとしたものを部屋に飾ります。アドベントクランツは購入したり手作りするなどして、毎年欠かさず飾っています。(Mさん)
アドベント中もツリーを楽しむ
ドイツでは12月24日にツリーを飾り付ける家庭が多いですが、わが家のツリーはアドベント期間中もすでにデコレーション済み。年によっては日本に一時帰国するため、クリスマス当日にドイツにいなくてもその雰囲気を味わえます。日照時間が少ないので少しでも明るくピカピカさせて、気持ちを盛り上げています。(Megumi.Tさん)
旅のお土産もデコレーションに
欧州各地を旅行したときに、お土産で買ったミニチュアの街並み(写真下)を飾ります。毎年一つずつ購入し、日本の家族にプレゼントもしています。(Megumi.Tさん)
ツリーの飾りはテーマを決めて
クリスマスの数日前にもみの木を買い、今まで集めた飾りでデコレーションします。娘と飾りのテーマを決めるのが、毎年の恒例行事。例えば、「山小屋風」なら赤い球とギンガムチェックのリボン、「お菓子の国」ならパステルカラーを基調に、布やフェルトでできたマフィンやクッキーを飾ります。(クニコさん)
大切なコレクションも飾りつけ
12月の週末にわが家に友だちが集まり、大量にクッキーを焼くのですが、その日までにツリーの飾りつけをしておくのが理想です。リヤカーを持ってもみの木を買いに行きます。パートナーが子どもの頃から大事にしてきた天使や雪、星などの飾りや、子どもたちが幼稚園で作ってきたものをみんなで飾り付けます。(国本隆史さん)
アドベントカレンダー
12月1日から毎日1から24までの数字が振られた窓を一つずつ開けていく、お馴染みのアドベントカレンダー。子どもがいる家庭では、毎日小さなプレゼントを贈ることもあります。
お菓子なしのおもちゃカレンダー
お菓子をもらう機会が多い季節でもあるので、わが家のアドベントカレンダーは甘いものは入れず、小さなおもちゃなどで作ります。手作りできなかった年は、プラモデルやブロックのパーツがセットになったカレンダーを購入。手作りよりも、完成度の高いおもちゃのほうが喜ばれることも。子どもは手作りから愛を図ったりしないのです。(Megumi.Tさん)
お菓子や実用品をバランスよく
わが家のアドベントカレンダーの内訳は次の通り。小さなチョコレートやグミが3割、絵本が3割、ヘアゴムや自転車のライトなど実用的なものが3割、あとはおもちゃです。(国本隆史さん)
定番のお菓子入りカレンダー
チョコレートなどの小さなお菓子が入った市販のアドベントカレンダーを用意します。スーパーやドラッグストアで売られているものでも、喜んでくれます。(M.K.さん)
娘の成長に合わせてコスメなども
子どもが小さかった頃は、24個のポケットがついた壁掛けに文具やおもちゃ、ビーズのアクセサリーなどを入れていました。娘が少し大きくなってからは、マニキュアやリップスティックなどのコスメも。プレゼントをこっそり買い溜めるのが楽しくもあり、大変でもあり……。(クニコさん)
クリスマスのお祝い
待ちに待ったクリスマス。家族や友人など大切な人たちと集まって、おいしいもの囲み、ゲームで遊んだり……。わが家の恒例行事も聞いてみました。
クリスマスに家族みんなの好物「手巻き寿司」
ドイツ生まれ育ちの子どもたちはクリスマスをドイツで過ごしたがるため、この時期に一時帰国することはありません。そこで、日本に帰らない友人たちと集まって、忘年会代わりに会食します。家族みんなが大好きな手巻き寿司をすることが多く、丸鶏を焼くことも。とっておきのワインを開けて、ボードゲームも全員参加です。(クニコさん)
ミサに出かけたらプレゼントタイム
わが家でよく食べるのは、スイスのチーズケーキであるラクレット、それから鴨ですね。クリスマスの日は、午後2時ごろ教会のミサに行き、家に帰ってきたらツリーの下に置いてあるプレゼントを開けます。あとは、アドベント期間中に大量に焼いたクッキーを食べます。(国本隆史さん)
やっぱり食べたい生クリームのケーキ
チキンや鴨肉など、鶏がメインの料理が多いです。ドイツのクリスマスケーキと言えばシュトレンですが、やっぱり生クリームたっぷりのケーキが食べたくなるので、毎年お菓子作りが趣味の夫が用意してくれます(写真下)。(Megumi.Tさん)
「もみの木」をドイツ語で大合唱
わが家のメインディッシュはロブスターです。クリスマス当日は毎年教会へ。クリスマスの歌「もみの木(O Tannenbaum)」をドイツ語で大声で、繰り返し歌い続けたり、家族で楽しく過ごしています。(M.K.さん)
日本風に鍋を囲んでパーティー
特に決まった過ごし方はありませんが、家族や友人と鍋パーティーをする……など日本風です。別の街に旅行することも。クリスマス前に、ドイツ人の知人宅でその時期ならではのお菓子をいただいたり、ツリーの飾りつけを見せていただいたりもしています。(Mさん)
わが家のサンタさん事情
ドイツには、日本式のサンタさんはやってくるのでしょうか?それぞれの家庭で苦労があるようです。
サンタさん、気づいてもらえず……
昨年初めて日本式に、枕元にサンタさんからとプレゼントを置きました。しかし、翌朝本人は全く気付かず、なんとか誘導してプレゼントに気付かせたのですが、唖然とした様子。今年はサンタさんにお願いしたいものがあるようです。(Mさん)
わが家にサンタさんは来る? 来ない?
クリスマスの登場人物が豊富なドイツ。わが家にはニコラウスは来ない、と取捨選択するのも一苦労。日本で育った夫婦間でも見解の不一致があり、24日の夜に枕元に置くという方針に落ち着くまで、いろいろと考えを巡らせました。(Megumi.Tさん)
努力が報われなかったサンタさん
数年前、娘が欲しがったのは勉強机用の椅子。こっそり椅子を買い、地下室へ隠し、夜中に組み立て……。翌朝、娘が目を覚まして包み紙を破く音がしたのもつかの間、「IKEAのシールが貼ってある!」の一声が。大失敗でした。(クニコさん)
ドイツのクリスマスを彩る
個性豊かなキャラクター図鑑
Saint Nicholas
サンタクロースの起源 聖ニコラウス
真っ赤な衣装に恰幅の良い姿、たっぷり蓄えられた白いひげが印象的なサンタクロースは、ドイツには存在しない。ドイツではサンタクロースの起源と言われているギリシャ人司教、聖ニコラウスがその役割を果たす。3〜4世紀に生きたとされており、生前は慈悲深い司教として貧しい人々の生活を支えたことから人々に慕われていたという。家計に苦しむ3姉妹の家の煙突に金品の入った袋を投げ入れ、それがたまたま暖炉横に吊るしてあった靴下の中に入ったことで、靴下の中にプレゼントを入れるという習慣が始まったというエピソードもある。聖ニコラウスが亡くなった12月6日を「聖ニコラウスの日」として、ドイツではこの日に小さなプレゼントが渡される。各地のクリスマスマーケットでも司教の帽子を被った聖ニコラウスが練り歩くことも。クネヒト・ループレヒト(下)という従者とともにやってくる。
Knecht Ruprecht
聖ニコラウスの助手 クネヒト・ループレヒト
聖ニコラウスと行動をともにするクネヒト・ループレヒトは、「黒いサンタクロース」とも呼ばれている。1年間良い行いをした子どもにはご褒美としてジンジャーブレッドなどをプレゼントするが、悪い行いをした子どもには罰としてお仕置きをして懲らしめるという役割が。欧州にはクネヒト・ループレヒト以外にもさまざまな「聖ニコラウスの同伴者」が存在し、ドイツのザールラントやバーデン=ヴュルテンベルクの周辺で知られるBelsnickelなどがいる。また、ドイツ各地でクネヒト・ループレヒトに相当する存在は、Hans RuprechtやRumpknechtなど、たくさん存在している。
Christkind
ドイツ南部のクリスマスの天使 クリストキント
主にドイツ南部やオーストリア、スイスなどに伝わるクリスマスの天使。ドイツにおいては、「世界で最も有名」なニュルンベルクのクリスマスマーケットのビッグイベントとして、2年に一度クリストキントを決定するコンテストが行われる。コンテストで選ばれた人物はゴールドとホワイトの衣装を身にまとい、金髪の巻き髪のかつらをつけるのが伝統として受け継がれている。名前は「幼いキリスト」だが、そのイメージは女性の姿として想像されており、この地域ではサンタクロースと同じ役割を持つとしてクリストキントが12月24日にプレゼントを持ってくると言われている。
Nussknacker
さまざまな種類に出会える くるみ割り人形
欧米で現代でも愛され続けているクリスマスを舞台にしたバレエ「くるみ割り人形」。1816年にドイツのE.T.A. ホフマンによって発表された「くるみ割り人形とねずみの王様」が原作となっており、ドイツにもゆかりがある。くるみ割り人形は文字通りくるみを割るために使う道具のことで、ドイツではアドベントの時期に民芸品としてさまざまな種類のくるみ割り人形をクリスマスマーケットやデパートなどで見ることができる。現在ではオリジナルの用途のほかにも装飾用やドイツ土産としてもニーズが。コレクションしたくなるような大小さまざまなスタイルが特徴。
Krampus
バイエルン州の「なまはげ」 クランプス
ヤギのような風貌で二足歩行する、クランプスは、欧州中部の国で伝わる伝説の生き物。ドイツでは主に南部のバイエルン州で知られており、ミュンヘンのクリスマスマーケットでは期間中2回に渡って街を練り歩く。親の言うことを聞かない悪い子どもには、手に持っているムチで罰を与えるというのが伝統。リアリティーのあるマスクは羊の皮や角を使って製作されている。子どもの頃に見たらトラウマになること必至。アメリカではクランプスを題材にしたダークファンタジー映画があったり、日本ではクランプスジャパンという団体が主催するパレードが行われるなど、世界的な知名度を誇る。
番外編
Gingerbread man
ドイツでは人型じゃない ジンジャーブレッド
人型クッキーに愛らしい表情がアイシングされているジンジャーブレッドマンもクリスマスを代表するキャラクター。しかし、ドイツにおけるジンジャーブレッドは、「レープクーヘン(Lebkuchen)」と呼ばれる円盤型のお菓子(写真右)を指す。レープクーヘンが特産品となっているドイツ南部のニュルンベルクでは、エリーゼンレープクーヘンと称されている。
Weckmann
クリスマス前に登場する ヴェックマン
ドイツの菓子パン「ヴェックマン」はアドベント期間にもパン屋などで売られるため、クリスマスのキャラクターと思われがち。実はマルティン・ルターの誕生日(11月10日)から聖ニコラウスの日(12月6日)にかけて出回るだけで、クリスマスとは直接関係がない。片手にパイプを持っているのが一般的だが、表情や姿形はさまざまで、チョコやレーズン入りなどもある。