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旅ールのすすめ - ビールに会いに旅に出よう

山片 重嘉コウゴ アヤコ 1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らす。旅とビールを組み合わせた“旅ール(タビール)をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ビアジャーナリストとして『ビール王国』(ワイン王国)、『ビールの図鑑』(マイナビ)、『Coralway』(日本トランスオーシャン機内誌)など、さまざまなメディアで執筆。 www.jbja.jp/archives/author/kogo

ミュンヘンの宝物! しみじみとうまい正統派ビール

これからの季節、ドイツ各地でビールのお祭りが開催される。ビール好きなら一度は行きたいと願うのは、ミュンヘンのオクトーバーフェスト。旅ールのきっかけにうってつけだ。ミュンヘンはビールの都と呼ばれるだけあって、何を飲んでもうまい。そんな舌の肥えたミュンヘンっ子に好きな醸造所を尋ねると、大概こんな答えが返ってくる。「アウグスティーナーが1番さ!」。

アウグスティーナーは、ミュンヘンで最も古い歴史を持つ醸造所。1294年創立のアウグスティーナー修道院の併設醸造所として、1328年からビールを造っている。その後、修道院の世俗化の過程で醸造所は民営化され、1829年にワグナー家が買収。以降、この一族と財団によって醸造所は運営されている。

世界のビール市場では、大企業による吸収合併が進んでおり、オクトーバーフェスト会場でビールのテントを出している大醸造所であっても外国資本が入っている場合が多い(ホフブロイ醸造所は州が所有)。そんななかでアウグスティーナーは独立を保っている稀有な醸造所だ。ミュンヘン市外に出回ることがほとんどないというのも、「おらが町のビール」として愛される理由の1つだろう。

その味わいも唯一無二。醸造所の敷地内に歴史的な麦芽製造所を持ち、自社で作る特別な麦芽をビールに使っている。仕込み水は専用の井戸で地下230メートルから汲み上げ、ホップはバイエルン産とボヘミア産を組み合わせて使用。基本を大切にする丁寧なビール造りこそが人々に愛されるゆえんなのだ。特にオクトーバーフェスト会場と直営店で提供される、木樽から直接注がれる伝統的なビールには職人の誇りを感じる。

看板商品の「Lagerbier Hell」はしみじみうまい。麦芽の風味が存分に感じられ、ホップはそっと寄り添う程度。日本人にとっての米飯のように、飽きずに毎日でも飲みたくなるミュンヘンの味だ。

vol.33
Lagerbier Hell

Lagerbier Hell

 
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