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旅ールのすすめ - ビールに会いに旅に出よう

山片 重嘉コウゴ アヤコ 1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らす。旅とビールを組み合わせた“旅ール(タビール)をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ビアジャーナリストとして『ビール王国』(ワイン王国)、『ビールの図鑑』(マイナビ)、『Coralway』(日本トランスオーシャン機内誌)など、さまざまなメディアで執筆。 www.jbja.jp/archives/author/kogo

疫病に負けない! 木樽職人の熟成ビール

ミュンヘン新市庁舎は、1908年に完成したネオゴシック様式の美しい建物。ドイツ最大の仕掛け時計Glockenspielで有名だ。1日に2回(サマータイム中は3回)、人形たちが音楽と共に動き出す。

上段は1568年のバイエルン大公の結婚式を祝うもので、下段は樽職人のダンスSchäfflertanz。当時流行した疫病ペストの鎮静後もうつうつとしていたミュンヘンの街に活気を取り戻そうと、1517年に樽職人たちが始めた踊りだ。その後ダンスはバイエルンに広く伝わり、各地で踊られるように。今は樽職人の減少のため、さまざまな職業の人がグループに加わっている。

かつてビールの熟成、貯蔵は木樽で行われていたが、現在は金属タンクが主流だ。木樽の需要は激減し、工房はミュンヘンでは1カ所を残すのみ。しかし今、クラフトビール業界では木樽熟成の面白さが見直され、トレンドになりつつある。

カンバ醸造所は、南ドイツにおけるクラフトビール界のパイオニア的存在。親会社が醸造器具メーカーということもあって最先端の設備が整うなか、この醸造所が力を入れているのは昔ながらの木樽熟成だ。

「Oak Aged Heller Bock」のシリーズでは、ドイツ伝統の高アルコールビールであるボックを、ウイスキーやコニャックなどを貯蔵していた古樽で熟成。樽の経歴によって味が異なるのが面白い。「Muscatel」は白ワインの樽で1年間熟成させたもので、白ワインの甘い香りに加え、樽由来のバニラのような芳香も感じられる。ホップの苦みの後から蜂蜜やドライアプリコットのようなフルーティーさが口いっぱいに広がり、奥行きのある味わい。

仕掛け時計に表現された樽職人は、疫病を乗り越えて明るさを取り戻した街のシンボル。樽熟成の高アルコールビールに勇気をもらって、どんな困難にも打ち勝ちたい。

https://camba-bavaria.de/

vol.40
Oak Aged Heller Bock Muscatel

Oak Aged Heller Bock Muscatel

 
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