1980年 | 岡山県倉敷市生まれ |
2004年 | 東京藝術大学音楽学部声楽科卒業 |
2007年 | 東京藝術大学大学院オペラ科修了 渡独、カールスルーエ音楽大学付属オペラ研修所入学 |
2009年~ | カールスルーエ音楽大学大学院リート科在籍中 |
「誰もが歌を口ずさみ、歌に励まされる。歌は日常生活の一部であり、ごく普通のこと」。とかく敷居が高いと思われがちなオペラの世界で活躍しながらジャンルにはこだわらず、純粋に心から歌を楽しむ木村善明さんは、そう語る。
子どもの頃から歌うことが大好きで、お風呂に入りながら歌ったり、両親と一緒にカラオケに行ったりと、常に歌を歌いながら育ってきた。地元のカラオケ大会で優勝したこともある。そんな中、ピアノの先生に薦められて音楽の道に進んだのは、ごく自然の成り行きだったのだろう。
大学院でオペラを専攻した木村さん。学んだことの集大成として、初の晴れ舞台となるソロリサイタルを2週間後に控えたその日、彼の元に父の訃報が舞い込んだ。ショックから声が出なくなり、一時は中止しようかとも思い悩んだが、結局、用意していた曲目を大幅に変更し、「涙そうそう」「千の風になって」など父に捧げる曲を選んで歌った。その時に感じた客席との一体感や温かさが、「今伝えたいことを伝えるために歌がある」という彼の信念を支えている。
今年の夏、木村さんは地元岡山の寺院でクラシック・コンサートを開いた。あえて異色の組み合わせにしたのは、「クラシック音楽があまり浸透していない田舎だからこそ、ビーチサンダルを履いてふらっとオペラを聴きに来ても良いのではないか」との思いから。ジャンルや通念の枠を越え、歌で身近な人を幸せにしたいという彼の願いは、着実に音楽の裾野を広げる活動へと実を結んでいる。
木村さんは今、ピアノとのデュオの練習を重ねながらドイツ歌曲の習熟を目指して研鑽中。「1曲1曲がミニオペラのようになっていて、数分間の短い曲の中に出てくる複数の役を演じ分けたり、同じ人物でも喜怒哀楽を表現したりと、とても奥深いのです」という言葉に、彼のドイツ歌曲への並々ならぬ情熱を垣間見た。そんな音楽へのひたむきな姿勢が、彼が目指す「人に夢や勇気、希望を与える歌手」としての土台を築いていくのだろう。
(編集部:林 康子)
オペラガラコンサート
オペラ「カルメン」より、闘牛士の歌(2007年12月、杉並公会堂大ホール)
オペラ「コシ・ファン・トュッテ」より、グリエルモ役(2007年3月、港南区民文化センターひまわりの郷
オペラ研修所でのコンサートの後、オペラを学ぶ仲間、先生と一緒に(2009年2月)
12月20日(日)
ベートーベン作曲 交響曲第9番合唱付き
場所:埼玉県飯能市民会館大ホール
〒357-0063 埼玉県飯能市飯能226-2
時間:開場13:30 開演14:00 一般2000円、中学生以下1000円
問い合わせ:+ 81(0)42-9723000(飯能市民会館)
バリトンソロで出演
12月26日(土) 木村善明
バリトンリサイタル ~ドイツからのメッセージ~
ピアノ:田中悠一郎、語り:加藤香
場所:東京都調布市・アヴェニューホール仙川
〒182-0002 東京都調布市仙川町1-25-2
時間:開場18:30、開演19:00 前売り3000円、当日3500円
問い合わせ:+81(0)29-8418905(Gift Music Company 長澤)
木村善明さんのオフィシャルHP http://yoshiakikimura.com