1970年 | 福岡県福岡市生まれ |
1970~78年 | 米ニューヨーク居住 |
1994年 | 英文学を学ぶため再渡独。 その1年後、音楽専攻に転向 |
2001年9月 | 南カリフォルニア大学ソーントン音楽学校 クラシック・ギター科・作曲科卒業 |
2005年 | 渡独。ベルリンで音楽活動を開始 |
「才能に恵まれたミュージシャン」という月並みな言葉では表現できない何かをこの人物は持っている。音楽の神様に見出された人なのではないか? そう思わせるほど、ギタリスト、西本毅さんの半生は絶妙な運ときっかけに満ちている。
14歳のとき、友人宅で見かけたアコースティックギターを触ってみた。それが事の始まり。その後、知人に誘われ、ベーシストとして地元福岡のバンドに加わった。80年代半ば当時、日本はバンドブームの最盛期。ヴェルヴェッツやジミヘン、ビートルズ、ローリング・ストーンズなどの洋楽を夢中で聴き、自分なりに好きな音楽を追求していった。
一方で、1950~60年代のビートニクスに憧れる文学青年でもあった西本さん。自作の詩で弾き語りにも挑戦しつつ、文学作家を目指して幼少時代を過ごした米国に再び渡った。だが、そこでも音楽の申し子に新たなチャンスが到来。友人の紹介で音楽奨学金のオーディションを受け、見事合格した。「音楽の方が上手く行きそう」と思ったのは天性の直観か、そのまま大学で本格的に音楽を学び始める。
音楽を感性だけでなく、理論的にも捉えられるようになった頃、偶然入ったインド料理屋でインドの古典楽器、シタール、そして後にサロードと出会った。その郷愁に満ちた深遠な響きを持つ弦楽器を自らも弾いてみたいと、演奏家のラフール・サキャプトラ氏やラジーフ・タラナス氏に師事。演奏方法だけでなく、音楽の奥深さや哲学も学んだ。例えば、インド音楽には即興の要素が多く、単に譜面を見ながら弾くだけでは音楽を「得られない」ということ。音楽を深く理解する人同士がそれを言語のように操り、コミュニケーションを図る。そんな演奏をしたいと、西本さんは言う。
目下、芸術への理解と尊敬の念が深い欧州の空気を肌で感じながらベルリンを拠点に活動中。良き出会いとチャンスに支えられながら磨かれてきた音楽という原石は今、聴き手の心に染みる作品を生み出し続けたいという願いとなって、西本さんの意欲を突き動かしている。
(編集部:林 康子)
音楽プロジェクト「I'm Not A Gun」を組むジョン・テハダ氏と
2007年3月、東京渋谷のライブハウス
「Duo Music Exchange」にて
2001年9月、米ロサンゼルスにて、シタールの師匠
ラフール・サキャプトラ氏とコンサートの準備
公演活動のほか、アート作品に添える音楽や映画のサウンドトラックも手掛けるなど、ドイツに来て活動の幅を着実に広げている西本さん。「皆がそれぞれ自分の好きな音楽を探している」ところが気に入っているというこの地から、今後もオリジナル曲を発信していく。
7月20日(水) 20:00
映画プロジェクト・プレミア上映
Farwanderer / Vostok, Faretheewell
※西本さんがサントラ、脚本、出演を担当
場所:Arsenal - Institut für Film und Videokunst e.V., Kino 2
Potsdamer Str.2, 10785 Berlin
TEL: 030-26955100
www.arsenal-berlin.de
8月27日(土) 19:00
「Lange Nacht der Museen」枠内でのコンサート
場所:森鴎外記念館 Mori-Ogai-Gedenkstätte
Luisenstr.39, 10117 Berlin
TEL: 030-2826097
www2.hu-berlin.de/japanologie/mog
西本さんのHP: www.takeshinishimoto.com