ジャパンダイジェスト

「ナルニアの王」のミュージカルがハンブルクで上演

かくれんぼで洋服ダンスの中に隠れていたら、そこは雪に覆われたナルニア国につながっていた! C.S.ルイス作の『ナルニア国物語』は2005年に第1章「ライオンと魔女」が映画化されてから、日本でも有名になりました。20世紀の子どもたちが異世界のナルニア国に行き、与えられた使命を果たしていくというファンタジーです。昨年11月22~25日、この「ライオンと魔女」が「ナルニアの王」としてミュージカル化され、ハンブルクのホルステンヴァル自由福音教会(Freie evangelische Gemeinde „Holstenwall“)で上演されました。

本公演をプロデュースしたのは、コーラス指揮者兼音楽プロデューサーのマルティン・デンツィン氏。彼はすでに2000年、03年に自身の本拠地ブレーメンでこの作品を上演し、大成功を収めています。その際、音楽面で関わったハンブルクのゴスペル指導者ハンヨ・ゲープラー氏が、ぜひ当地でもこの作品を上演したいと願い出て、今回の公演が実現したそうです。本作品は、1970年代に出現したファンク・ソウルスタイルの英語によるコーラスが主要部分を占め、さらに10人のソリストの歌と演技で物語が進行します。

コーラス
熱演のコーラス。皆さん、お疲れ様でした!

ソリストとバンド(楽器演奏者)は早くに決定したものの、コーラスが最後まで決まらなかったため、急きょ今回の公演のための特別プロジェクトとしてクワイヤを募り、その結果、13~60歳代の120名のコーラスが結成されたとのこと。2012年初めから毎月練習を重ねて本番に臨んだそうですが、アマチュア・コーラスが全14曲、英語の歌詞をすべて暗譜で歌っていたのには脱帽しました。しかも皆さん、顔が輝いており、心から楽しみながら身体全体で歌っている様子が伝わってきました。

ソリストは、それぞれ凝った衣装で出演。ナルニアの王であるライオンのアスランは、ミュージカル「ライオンキング」のように、ライオンの顔を頭の上に冠のようにつけて登場し、創造主でありながら威圧的ではなく、すべてを包み込むという難しい役どころを見事に演じていました。一番大きな拍手をさらっていたのは、茶色の着ぐるみをまとい、顔を茶色に塗って、真っ白な出っ歯をつけたビーバーさんでした。

外観
会場となったホルステンヴァル自由福音教会の外観

収容人数約1000人のホルステンヴァル自由福音教会は開催期間中、連日満席の盛況ぶりだったようです。コーラスの方が「この1年、これだけに没頭して来た。でも、それももう終わり」と残念がっていましたが、出演者の熱意の伝わる素晴らしい公演の記憶は、きっといつまでも観客の心に残ることでしょう。

井野さん井野 葉由美(いの はゆみ)
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?
 
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