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ポツダムの屋内植物園「ビオスフェーレ」で遊ぶ

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例年春頃になると、夏の休暇を計画し始めるところだが、昨年に続いて今年も難しそうだ。近場でもいくらかエキゾチックな気分を味わえる場所として、今回はポツダム近郊の屋内植物園「ビオスフェーレ」へとご案内したい。

ビオスフェーレ・ポツダムの蝶の館で出会った「ヘリコニウスヘカレ」というチョウ
ビオスフェーレ・ポツダムの蝶の館で出会った「ヘリコニウスヘカレ」というチョウ

といっても、残念ながら現在は臨時休業中で、これからご紹介するのは昨年7月に友人の家族と訪れたときの模様である。ベルリンのツォー駅からポツダム中央駅までS バーンで30分揺られ、駅前からトラム96番に乗る。旧市街を抜けてさらに北へ進むと、かつてのロシア人居住地「アレクサンドロヴカ」の特徴的な家々が見えて来た。

その先の停留所「フォルクスパーク」で降りる。ポツダムには18世紀以降プロイセンの軍都だった名残が多くあり、軍隊の演習場だった場所が、2001年の連邦園芸博覧会に合わせて公園に整備された。この屋内植物園もその時に生まれたものだ。

ガラス張りのモダンな館内に、約350種類から成る2万本の熱帯植物と多くの熱帯動物が飼育されているという。入場口から中に入ると、目の前に滝が見え、水飛沫を感じながら滝の裏側を進む。小道に沿って歩くとはいえ、ジャングルを探検しているような楽しさがある。イグアナをガラス越しに眺め、日常的に食しながらも日頃見る機会がないカカオの木やカルダモンの大きな葉も見ることができた。

木々が鬱蒼(うっそう)と茂る植物園の様子
木々が鬱蒼(うっそう)と茂る植物園の様子

今度は階段を上がり、蝶の館(Schmetterlingshaus)という名の部屋の前に来た。館内でここだけは入場制限をしており、少し待つことになる。順番が来て中に入ると、見たこともないような熱帯地域のチョウがあちこちで舞ったり、花の蜜を吸ったりしている。その色合いの美しいこと。ひらひら舞うチョウを追いながら、子どもたちがはしゃいでいる。

再び下に降り、イエメンやサウジアラビアに生息するエボシカメレオンや、マダガスカル産のジャイアントヤモリの鮮やかな緑に触れながら、エキゾチックな地域を空想旅行しているような気分も味わった。とはいえ、熱帯雨林の中にいるような感覚なので、マスクを付けながら歩いていると汗がにじんでくる。

そこからアクアリウムに入ると、海の中が舞台となる。それまでの緑から、ブルー、紫、黄色の作り出す世界に魅了された。それぞれの海洋熱帯魚がドイツ語と英語、ラテン名で表記されているので、例えば黄色の尾ひれを持つイエローテールタンが、ドイツ語ではBlauer Segelflossendoktorというまったく別のイメージを想起させる名前であることが分かったりして楽しい。

上階に行くとカフェやレストランがあり、植物園の緑を眺めながら休憩することもできる。私たちは上階から出口に出ると、フォルクスパークの芝生でしばらく遊んだ。東へ少し歩けば、プフィンクストベルク山の展望台「ベルヴェデーレ」に登ることもできる。遠くに行くことはできなくても、緑に満たされた空間に半日浸って心が少し軽くなった。

インフォメーション

ビオスフェーレ・ポツダム
Biosphäre Potsdam

ポツダムの北、フォルクスパークにある屋内植物園。一般的な植物館と違い、熱帯地域の世界を直に体験できるコンセプトにより作られている。入場料は11.50ユーロ(学割9.80ユーロ、6~13歳7.80ユーロ、3~5歳4.50ユーロ、3歳以下の子どもは無料)。上階にはカフェとレストラン「ウアヴァルトブリック」もある。

オープン:月~金9:00~18:00、土日祝10:00~19:00(現在は臨時休業中)
住所:Georg-Hermann-Allee 99, 14469 Potsdam
電話番号:0331-550740
URL:www.biosphaere-potsdam.de

ベルヴェデーレ・プフィンクストベルク
Belvedere Pfingstberg

ビオスフェーレから徒歩15分、プフィンクストベルクの山上に立つ展望台。プロイセン国王フリードリヒ・ヴィルヘルム4世の命により建てられ、国王の死から2年後の1863年に完成した。イタリア・ルネッサンスの邸宅様式による壮大な建築で、2本の塔の上からはポツダム市内、さらに森の向こうのベルリン方面の眺望まで楽しめる。

オープン:4~10月は毎日10:00~18:00、3月と11月は土日10:00~16:00(現在は臨時休業中)
住所:Pfingstberg, 14469 Potsdam
電話番号:0331-20057930
URL:www.spsg.de

 
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中村さん中村真人(なかむらまさと) 神奈川県横須賀市出身。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。現在はフリーのライター。著書に『ベルリンガイドブック』(学研プラス)など。
ブログ「ベルリン中央駅」 http://berlinhbf.com
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