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モーリッツブルク城の野生猟区

このコーナーで度々ご紹介しているドレスデン・モーリッツブルク城とその周辺ですが、今回は特に子どもたちに人気のスポットとなっているモーリッツブルク城の野生猟区(Wildgehege Moritzburg)を取り上げます。

この野生猟区は、モーリッツブルク城からほど近い場所に位置し、一見すると小さな動物園のようです。その前身は狩猟用の城であったモーリッツブルク城にとって重要な狩猟用の野生動物を飼育していた施設で、ザクセン選帝侯ヨハン・ゲオルク4世の治世である1693年に建てられた動物公園が野生猟区の始まりと言われています。

しか
周辺の森林と一体化したような鹿の領域

現在は、ザクセン州営林局の管轄で30種以上の動物が飼育されており、特にダマジカやヘラジカ、ノロジカ、アカシカといった鹿の領域が大変広いことから、狩猟用の施設であった歴史の片鱗がうかがえます。野生猟区の特徴は、基本的には自然の地形そのままを利用し、ただ単に柵を周囲に張り巡らしているということです。ところどころにある古い石造の壁は中世からあるもので、今日でもこの壁の一部を上手く再利用しながら動物たちの柵が作られています。

このような歴史的な背景はさておき、子どもたちにとって、ここに来るお目当ての1つは、動物に餌を与えることでしょう。ひまわりのタネなどが入った餌袋を入り口で買い、野生猟区を回りながらそれを鹿などに直接あげることができます。鹿のほうが要領を得ているため、人間が掌に餌を乗せて差し出すと、積極的に近寄って来て手から食べてくれますが、鹿は予想以上に大きく力も強いので、子どもたちには少々勇気が必要です。

子どもとしか
鹿にエサをあげる子どもたち

最近完成した広大な狼の領域の上には、そこを横断するように遊歩道が設置されており、狼の様子を少し高いところから直に見下ろすことができます。速足で規則正しく走り続ける孤高の狼は貫禄たっぷりでした。

野生猟区敷地内には照明設備がほとんどないため、冬場は閉園近くの時間帯には辺りがすっかり暗くなり、本当に森の中に取り残されたような怖さを覚えます。私たちが閉園後に車に戻ると、数匹の狼の遠吠えが暗い森の中にこだまし、その昔は深い森が人々の村から村への行き来を阻んでいたのだと実感せずにはいられませんでした。

動物のみならず、併設のカフェやレストランも人気で、夏はビヤガーデンが大賑わい。入り口の建物の2階では、結婚式などのパーティーを開くことも可能です。また、5歳以上を対象としたアスレチックもあり、深い森の中で汗をかくことができます。

www.wildgehege-moritzburg.sachsen.de

福田陽子さん福田陽子
横浜出身。2005年からドレスデン在住。ドイツ人建築家の夫と娘と4人暮らしの建築ジャーナリスト。好奇心が向くままブログ「monster studio」公開中。
http://yoyodiary.blog.shinobi.jp/
 
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