アウトバーンA4の出口脇にある巨大ショッピングセンター「エルベパーク(Elbepark)」は、週末ともなればドレスデン市内のみならず近郊の村や町から多くの買い物客が訪れて大変なにぎわいをみせます。10月10日、その一角にコミック・テンペル(Comic Tempel)3号店がオープンしました。オープニング前にはスーパーマリオやポケモン、進撃の巨人など、思い思いのコスプレの衣装に身を包んだ若者が、ほかの買い物客から好奇の熱い視線を浴びながら集結しました。オーナーのラファエル・テンペルさんのあいさつとカウントダウンでいよいよオープン。あっという間に店内は大混雑に。来場者にはお寿司が振る舞われ、日本づくしのおもてなしも。
ごった返すオープン直後の3号店の店内
ドイツでも、日本の漫画はMangaとして定着し、ファンが多いことは知っていましたが、これほどまで多くの漫画がドイツ語に翻訳されていることに驚きました。取り扱い品は漫画のほか、ぬいぐるみやフィギュア、さらにバッジやキーホルダー等のグッズ、抱き枕まであります。
インタビューに答えてくれたコスプレ姿の若い女性は、すでに200冊を超える漫画を自宅にコレクションしているとのことでした。数名の来場者に話を聞きましたが、友人や兄弟が持っていた漫画を貸してもらってファンになる、というケースがとても多いことが分かりました。
200冊の漫画を持っている21歳と16歳の二人
オーナーのテンペルさんはまだ30歳代前半、本職は保険およびファイナンシャル・アドバイザーです。父親が市立図書館勤務だったこともあり、9歳頃から漫画を読み始め、14歳でどっぷりとはまり、初めて買った漫画は園田健一の『ガンスミスキャッツ』とのこと。単なるアクションだけで終わってしまう漫画とは違い、テンペルさんは、「日本の漫画のストーリーの裏にある奥深さに価値を見いだせる」と熱く語ってくれました。コスプレに関しても、「自分自身はコスプレはしないけれども、衣装は手作りだしクリエイティブなことだと思う」と評価しています。しかし、漫画は趣味の範囲で、出店もあくまで趣味だと言い切ります。趣味とはいえ3店舗も出すのは並々ならぬエネルギーがいるはず、にもかかわらず、本人はさらに4号店出店も目指しているとのこと。
1号店(Hoyerswerdaerstr. 29, 01099 Dresden)を出すときのきっかけは、「好きだからとにかく出してみよう」という気持ちだったのだとか。最初は閑古鳥が鳴いていましたが、徐々にファンが集まり軌道に乗ったそうです。好き、という気持ちが純粋で強いほど、夢が実現できるのかもしれません。1号店は日本語の漫画およびアートブックを扱っており、日本人スタッフもいるので、気軽に質問や相談をすることができます。
Comic Tempelのウェブサイト www.comic-tempel.de
横浜出身。2005年からドレスデン在住。ドイツ人建築家の夫と娘と4人暮らしの建築ジャーナリスト。好奇心が向くままブログ「monster studio」公開中。
http://yoyodiary.blog.shinobi.jp/