今回は、デュッセルドルフから車で40分、オーバーハウゼンからの出張レポート。
10月11日の昼下がり、いつもは青々とした芝生の上を駆け回るプロ・サッカー選手の安藤梢さんはこの日、小さなスポーツ場に立っていた。ここは、ドイツ国際平和村。アフリカや中東諸国から紛争や災害による傷、祖国では癒せない病を抱えた子どもたちが治療のために滞在する「希望の村」だ。
オーバーハウゼンのお隣の町、デュイスブルクのチーム「FCR 2001 Duisburg」に所属し、女子ブンデスリーガ1部で活躍する安藤選手の周りでは、嬉しそうにボールを追いかける平和村の女の子たちが全力で駆け回っている。子どもたちの顔に残る傷、自由にならない手足などが祖国での悲劇を物語っているが、大好きなボール遊びに熱中する表情は明るい。
サッカー交流会、練習と試合の様子
リフティングの練習の仕方を丁寧に教える安藤選手。いつまでも続くそのボールさばきに、子どもたちの目には尊敬の色が濃くなる。「早く試合がしたい!」子どもたちのやる気は最高潮。小さなピッチ上で各国入り混じっての国際親善試合がキックオフ。
やはり安藤選手の上手さが際立つが、子どもたちも負けじと向かっていく。相手がプロでも、果敢に正面から攻め、ときには激しい当たりもいとわずに「Tor!Tor!」とゴールを目指す。安藤選手のチームが先制し、抱き合って喜ぶ姿は本当のチームメイトになった証明。
子どもたちと対峙する前、ケガや病気の状態を気に掛けていたという安藤さん。あまりにパワフルな子どもたちの様子に驚いたと同時に、「障害やハンディキャップを感じさせない子どもたちから、私の方が元気をもらいました。本当に楽しかった!」と満面の笑み。「強い個性と自己主張する姿勢は選手向き。また今度来たときに、もっとサッカーが上達していたら嬉しいな」と、子どもたちとの再戦を約束した。
「私たちの若き才能です」と、途中から参戦したドイツ国際平和村代表トーマス・ヤコブスさんも誇らしげな様子。でも、「この子たちが、それぞれの故郷で才能を開花させることができれば良いのですが・・・・・・」と続いた言葉に、考えさせられる。それでも、子どもたちが見せた強さは、きっと彼女たち自信の未来を切り開く。そう感じさせてくれる試合だった。
試合後、お互いの健闘を称え合った子ども達と安藤選手
11月27日(土)15:00~
※日本語による平和村の活動紹介と施設案内も14:30から開催される。希望者は要連絡。
問い合わせ先:
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http://japan.friedensdorf.de
FCR 2001 Duisburgの今後の試合日程
【女子ブンデスリーガ1部・第11節】10月31日(日)11:00 1. FC Saarbrücken - FCR 2001 Duisburg
【チャンピオンズリーグ】
11月3日(水)14:30 FCR2001Duisburg - Fortuna Hjörring(デンマーク)
【女子ブンデスリーガ1部・第12節】
11月6日(土)14:00 Bayer 04 Leverkusen - FCR 2001 Duisburg
※FCR 2001 Duisburgと安藤選手の日本語情報は下記のウェブサイト参照
http://fcrando.blog107.fc2.com
お米の名産地出身のため、日本酒をこよなく愛する。せっかくヨーロッパの真ん中にいるのだからビールやワインなどにもテリトリーを拡大し、世界の酒を語れる素敵なレディになるのが夢。座右の銘「酒は飲んでも呑まれるな」