今年の8月28日から9月6日まで、恒例のラインガウワイン・マーケットがフランクフルトのグローセ・ボッケンハイマー通りで開かれました。1978年から始まったこのイベントは、毎年夏の終わりと秋の始まりを感じさせるこの時期に、約30ものラインガウ地方のワイナリーが集まり、600種類以上のワインを提供しています。
普段から地元民や観光客で賑わうフレスガス
ショッピングストリート「ツァイル」からアルテ・オペラへと続くこの通りは、通称「フレスガス=食いしん坊通り」と呼ばれており、フランクフルトで最初の歩行者専用道路として昔から親しまれています。デリカテッセンやカフェ、レストランが軒を連ね、普段からグルメな人々でにぎわっていますが、特にこのイベントの時期には、ワイン好きの人たちが集まり、普段以上の盛り上がりを見せます。私が訪れた日も爽やかな秋晴れの下、買い物帰りのファミリーや近くの金融街で働く銀行家、観光客たちがあちこちのワイナリースタンドでワインを飲み比べたり、スタンドの前に置かれた長椅子に腰掛けながらおしゃべりを楽しんだりしていました。
スタンドでワイン醸造者と直接話せるのも魅力
今年スタンドで提供されたワインには、ワイン専門家や愛好家の間で高品質として期待される2018年ヴィンテージもありました。昨年は記録的に暖かい1年で、早期開花、高温で乾燥した夏という、いいブドウの生育条件を満たした結果、素晴らしいワインとなったそうです。このイベントでは1杯100ミリリットルから注文できるので、いろいろなワインを試飲するのに最適。私もパッと目に付いたスタンドへ行き、まずは軽めのスパークリングワインをいただきました。クリアでライトなレモン色、程よい酸味とすがすがしい口当たりで、1杯目にぴったりでした。続いてラインガウの代名詞でもあるリースリング。濁りのない美しい黄金色、爽やかでフルーティーな香りとまろやかな酸味、非常にフレッシュな味わいです。
よく冷えた絶品ワイン
別のスタンドでは、ワイナリーの人に自分の好みを伝えて、味の相談に乗ってもらいました。リースリング以外も試してみたいと思い、おすすめされたブラン・ド・ノワールを試飲しました。このワインは、赤ワイン用のブドウを原料に白ワインの製法で作られたもので、最初の口当たりは軽やかながら、濃厚なブドウの香りとフレーバー、しっかりとした奥行きを感じられ、白ワインと赤ワインの良いところを両方楽しめる1杯でした。最後の締めにいただいた赤ワインは、良好な天候の恩恵を受けてフルーティーでフルボディ、酸味のバランスも良く、ふくよかなおいしさでした。
バーやレストランと違って、野外で気軽にさまざまな種類を飲み比べられ、ワイン醸造者と直接やりとりできるラインガウワイン・マーケット。夏の終わりと秋の始まりにおいしいワインを楽しめる、すてきなイベントでした。
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。