フランクフルトで活動する「独日こども文化センター」は、日本語と日本文化普及を目的に設立された公益法人です。言語と文化を体験できる日本語幼児教室「フロインデ」を中心に、育児サークルや折り紙ワークショップ、フリーマーケットなど、さまざまな活動を通し、地域の人々に日独文化交流の機会を提供しています。今年で創立10周年を迎える同センターについて、理事である昇桂さん、山本千里さん、平井ブラウン直子さんにお話を伺いました。
もともと同じ歳のお子さんがいるママ友達だった3人は、日本語を学べる環境の選択肢を増やしたいとの思いからこの活動を始めたそう。日本で教職に就いていた昇さん、事務担当の山本さん、法律が専門の平井さんと、それぞれの得意分野を生かしつつ、まずはやれることをやってみようと、日本語教室を開催しました。誰にでもオープンな日本語学習環境を提供し、その時その時で必要なことを1番良いと思う方法で進めていく。このことを基本に、自分たちのできる範囲で確実に活動を続けてきたという3人。講師やボランティア、親御さんたちの協力もあり、気が付けば今年で10年目を迎えるまでになりました。
工夫を凝らした手作りの教材
幼児教室「フロインデ」は、1クラス12人を目安にした少人数制で、年少・年中・年長の3クラスを提供しています。先生とアシスタントの2人が手作りの教材を使い、季節に合った話題や文化に即した工作など、家庭的な温かい雰囲気で授業を進めます。子どもたちが元気にのびのびと楽しむ様子がかわいらしく、笑い声があちこちから溢れていました。日本の家族と離れて子育てをしていると、両親以外の大人が子どもを見る機会は少ないものですが、ここでは皆に温かく子どもの成長を見守ってもらえる安心感がありました。私自身、子どもが小さいころは海外での日本語教育に不安がありましたが、こうした活動に参加できれば同年代の子どもがいる人とも出会うことができ、子どもたちも日本語や文化に自然と触れられます。子どもたちを中心に、親も先生もボランティアの方々も皆が協力することで、楽しく充実した日本語環境をつくり出すコミュニティーとなっていました。
運動会で元気に踊る子どもたち
2020年は創立10周年を記念して、「お仕事探索隊」という企画が進行中。子どもたちが「仕事」について考えるきっかけとなるように、この1年でさまざまな職業の紹介講座を開く予定です。1月25日には餅つき大会もあり、どちらのイベントも誰でも参加可能とのこと。また、こうした企画を手伝ってくれるボランティアも随時募集しています。人々が集まる地域コミュニティーとして、日本語教育にとどまらない多角的な文化交流活動を展開する同センターを、今後も応援していきたいと思います。
少人数でしっかり楽しく学べる幼児教室
独日こども文化センター:djkkz-ffm.de
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。