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映画「2001年宇宙の旅」公開50周年展

フランクフルトの映画博物館では、3月21日から9月23日まで、スタンリー・キューブリック監督「2001年宇宙の旅」公開50周年を記念した特別展「Kubricks 2001. 50 Jahre A SPACE ODYSSEY」が開かれています。小道具や衣装、プロダクションノートや撮影中の写真など、貴重な資料を通し、映画史に多大な功績を残した同作品を改めて振り返ります。

展示室
赤いライトに照らされた展示室

扉を開けて特別展スペースに入ると、赤いライトに照らされた展示室が広がります。作中の宇宙ステーションや宇宙船内部を想起させる円形の白いカーテンに、赤い色調を意識的に取り入れた作品に合わせた照明で、一気に映画の世界にトリップした気分になりました。お洒落なフォルムの椅子、客室乗務員の可愛い制服やかっこいいスーツなどの衣装デザイン画、ハミルトン社に製作を依頼して作った宇宙腕時計など、50年経っても魅力的な小道具が印象に残りました。赤い展示室から隣の展示スペースへ移ると、レプリカながら主人公のボーマン船長の宇宙服を間近でじっくりと見ることができます。細部にまでこだわった精巧な作りで、そのガジェット感にワクワクしてしまいました。宇宙船や宇宙ステーションの設計は元NASAの職員が担当したそうで、機能的で洗練されたデザインは宇宙空間で繰り広げられるストーリーにリアリティーをもたらしてくれます。

 こうした小道具の緻密さや美しさもさることながら、やはり気になるのは当時の撮影技術です。コンピューターグラフィックスが当たり前の現代と違い、50年前の手法でどうやってこれほどの映像を完成させたのかを分かりやすく展示しています。冒頭の猿人のシーンで用いられたフロントプロジェクションと呼ばれる合成方法の説明や、実際に使われた猿人の衣装、スターゲートと呼ばれるワープシーンの撮影方法など、監督やスタッフの工夫を凝らした50年前の撮影技術に感心してしまいました。また、映画の最後に出てくるスターチャイルドと呼ばれる巨大な胎児のオリジナル展示は、赤を基調にした初めの展示スペースとは好対照に青いライトで照らされ、目が合うと人形と分かって いてもドキッとしてしまうほどでした。

 

スターチャイルド
現物のスターチャイルドも目の前でじっくり見られます

「2001年宇宙の旅」の冒頭やワープシーンなども上映されており、こうした特殊撮影や映像技術の展示を見た後で実際の映像を見ると、さらに感慨深かったです。哲学的で難解とも評される本作ですが、とても50年前に公開されたとは思えない圧倒的なパワーや映像美、デザイン性を感じられました。キューブリックファンや映画好きはもちろん、本作をまだ観ていない人でも、監督のこだわりや当時の撮影方法、ディテールが素晴らしい小道具やセットが楽しめる特別展でした。

Kubricks 2001. 50 Jahre A SPACE ODYSSEY展:https://deutsches-filminstitut.de/filmmuseum

ユゴ さや香
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。
 
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