ジャパンダイジェスト

フランクフルト地下鉄開通50周年

現在フランクフルト市内では9系統の地下鉄が運行し、市民や観光客など年間1億6千万人以上が利用しています。この地下鉄が最初に開通したのは、1968年10月4日、ハウプトヴァッヘの駅からノルドヴェストツェントラムまでの路線でした。フランクフルト市交通公社(VGF)は地下鉄開通50年目となる今年10月4日、当時と同じ路線を昔の車両で運行し、節目の年を祝いました。今ではターコイズブルーがトレードマークの地下鉄車両も、かつては赤とベージュの外観に茶色いシートのレトロな配色で、時代を感じさせてくれます。

ハウプトヴァッヘの広場では特設パビリオンが設置され、50年の歴史を振り返る展示が開催されました。地下鉄建設作業の様子を紹介したパネルには、よく見慣れた街並みに巨大な穴を掘って線路を設置する様子が写し出されています。ドイツで3番目に地下鉄が運行した都市ということで、当時の人々にとっても珍しい光景だったよう。通行人が建設現場をのぞき込んだり、開通初日には9万人もの人々がハウプトヴァッヘの駅に詰めかけたりしたそうです。今の地下鉄への変遷を写真とともに振り返ることで、市民の足として発展してきた50年間を追体験することができます。またパビリオン内にはドライビングシュミレーターが設置され、地下鉄の運転を体験することもできました。3つのスクリーンには前方180度の景色が映し出され、手元のパネルやレバーで地下鉄を運転します。このシュミレーターは運転手の養成訓練にも利用されており、毎年100人ほどの新人運転手を訓練しているそうです。車の運転と違い何両もの車両編成がある電車を徐々に速度をあげて走行させたり、正確に駅で停車させたりするのは思った以上に難しく、実際の運転手養成訓練が50日以上かかるというのも納得できました。

ハウプトヴァッヘの特設展示会場
ハウプトヴァッヘの特設展示会場

パネルで振り返る地下鉄50年の歴史
パネルで振り返る地下鉄50年の歴史

実際の運転手養成訓練にも使用されるシュミレーター
実際の運転手養成訓練にも使用されるシュミレーター

また週末にはヘッデルンハイムの車庫で開かれたのは、歴代の地下鉄とトラムの車両が勢ぞろいする「車両ショー」。試作的に製造されたグレーの車両から、赤と白の初期車両、オレンジとベージュの昔の車両、何度かデザイン変更が加えられたターコイズブルーの車両まで、半世紀に渡って市内を走る車両の変遷も一目で見ることができました。鉄道マニアから地元市民、電車好きの子どもたちまで、次々に観客が訪れて車両の歴史を楽しんでいるようでした。

50年に渡り市内の公共交通を担ってきた地下鉄。地域開発が進むオイローパフィアテル地区への地下鉄延長工事も始まり、今後も安全で便利な市内の移動手段としてますますの発展が期待されます。

VGF:www.vgf-ffm.de

ユゴ さや香
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。
 
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