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落書き? それとも芸術?壁に描かれた絵画たち

友人知人が日本から訪ねて来たときにドイツを案内していると、必ず言われることの1つが「落書きが多いですね」。ドイツに住んで長くなってくると、これらのグラフィティは日常の景色として気にならなくなっているのですが、日本から来たばかりの人にとっては、やはり目につくようです。確かに「どうやってこんなところに描いたの?」と思うような場所にも描かれていますし、線路脇の防音壁などは、新しくできたそばからグラフィティ・アーティストたちのキャンバスになってしまいます。

美術財団がスポンサーになって描かれた、ちゃんとした壁画美術財団がスポンサーになって描かれた、ちゃんとした壁画

ドイツでも日本でも、基本的には公共の場所や他者の家の壁への落書きは器物損壊罪になり、現行犯で逮捕されると懲役を受けることもあるのだとか。ドイツの場合、なかには落書きとは思えないような、素晴らしく芸術性の高い壁画を見かけることもあるので、ちゃんと依頼を受けて描かれているものもあるはずです。かつて東西ベルリンを隔てていた壁にもたくさんの落書きがあり、壁が崩壊した当時は、色の付いた壁のかけらがお土産として売られていました。

先日はハンブルクの住宅街で、日本発のキャラクター「ハロー・キティ」が描かれている壁を見つけました。「Hellokitty & Friends」と題されて、さまざまなキャラクターがハンブルクの旗を掲げる船に一緒に乗っているではありませんか。ピンク色の背景でまとめられたそのグラフィティは、いかにもドイツの風景にミス・マッチというか、とにかく目立っていました。ハンブルクでサンリオが展開し始めたのは30年ほど前のこと。当時のドイツの文房具は機能性重視でかわいらしさとは無縁でしたので、「サンリオ製品は、ドイツでは絶対に流行らない」と思っていましたが、時間をかけて少しずつ市民権を得ていきました。そして今や、堂々と壁の落書きにまで登場していて、なんだか感慨深かったです。

バーンの駅の入口に描かれたもの。天井から壁までの大作ですバーンの駅の入口に描かれたもの。天井から壁までの大作です

もう1つご紹介したいのは、「Produktion」という消費・建築・貯蓄協会の3名の創設者の肖像画を描いたもの。こちらはきちんと美術財団がスポンサーになっています。人目は引きますが周りの風景にはなじんでいて、看板のような役割を果たしています。ほかにも、ジャングルに動物のいる風景や、波にイルカが跳ねているものなどを見かけたことも。きっと皆さんのお住まいの街にも、芸術的(?)な壁画がたくさんあることでしょう。散歩の際などに、新しい壁画を発見するのも楽しいですね。

井野 葉由美(いの はゆみ)
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?
www.nd-jcf.de
www.facebook.com/ndjcf

 
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