ハンブルク名誉市民であるジョン・ノイマイヤーは、米国出身のバレエダンサー・振付家で、1973年から約50年にわたってハンブルク・バレエ団の芸術監督兼首席振付家を務めてきました。今年3月、彼は2022/2023年のバレエシーズンを最後に引退することを発表したのです。
オープンエア-バレエが開幕!
ジョン・ノイマイヤーは、1939年2月24日に米国のウィスコンシン州で生まれました。彼は芸術とはあまり関わりのない両親の元で育ちましたが、両親とも息子の芸術への興味にはとても理解があったそう。4歳の時、お母さんと初めて訪れたミュ-ジカルのダンスを観て、「お芝居のセリフはいらない、踊りだけを観ていたい」と思ったのだとか。また地元に来たバレエ団の公演を観て、ますますバレエに憧れ、ダンスのレッスンを受け始めました。
大学では英文学と演劇学を専攻。在学中、教師からダンサーになることを勧められて本格的にバレエを学び始め、大学卒業後にはロンドンやデンマ-クのバレエ学校でも学びました。1963年、シュトゥットガルト・バレエ団にソロダンサーとして入団し、初めて来独。振付けも行うようになり、27歳の時にフランクフルト・バレエ団の当時ドイツで最も若いバレエ監督に就任しました。そして1973年、ハンブルク・バレエ団に芸術監督兼首席振付家として招かれ、以後150以上もの作品を生み出し、ハンブルク・バレエ団を成長させたのでした。
マーラ-の「愛が私に語るもの」を躍る管井円加さん
そんなノイマイヤーによる最後のシーズンのオープニングに、ハンブルク市庁舎広場ではオープンエアーのバレエ公演が催されました。「踊りの花火」と題したこの公演は、ハンブルク市民へのプレゼントということで入場無料。彼のバレエ人生を踊りで語る「ジョン・ノイマイヤーの世界」という作品では、彼自身もナレ-ションを担当し、約2時間余り上演されました。彼の代表的な作品「ニジンスキー」や、コロナ禍に作られた「ゴ-ストライト」、ハンブルクのクリスマス時期には欠かせないバッハの「クリスマス・オラトリオ」など、9作品のそれぞれのワンシーンが踊られます。
観客で埋まった市庁舎広場
フィナ-レは、シンフォニックバレエ「マーラ-交響曲第3番」。盛大な拍手と共にその幕を閉じました。次々と舞台に打ち上げられる「踊りの花火」が、約4000人もの観客を魅了しました。わたしも行きましたが、観客席はあっという間に埋まり、後ろの方でつま先立ち(バレリ-ナみたいに!)で見ることができました。
ちなみにノイマイヤーは、膨大なバレエ関係の資料や書籍のコレクションを一般公開すべく、バレエ博物館を開く準備を進めているそうです。現在83歳の彼にとって、本当の引退はまだまだ先のようですね。
ハンブルグ郊外のヴェーデル市在住。ドイツ在住38年。現地幼稚園で保育士として働いている。好きなことは、カリグラフィー、お散歩、ケーキ作り、映画鑑賞。定年に向けて、第二の人生を模索中。