ジャパンダイジェスト

デジタルのレオナルド展とユーモアたっぷりのアヒル展

ニーダーザクセン州立博物館では、現在二つの特別展が開かれています。一つは「レオナルドの世界 ダ・ヴィンチ・デジタル」というタイトルで、ルネサンス期の天才レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画や発明機器をデジタル版で鑑賞することができます。もう一つは、「ダックオメンタ 世界アヒルミュージアム」。世界の名作を、アヒルを主役にして再現したユーモア溢れる展覧会です。

ハノーファーでも新型コロナウイルスの影響で3月半ばから博物館は閉鎖されていましたが、5月5日から再開しています。人数制限や他人と間隔を取ることは求められますが、州立博物館ではマスクの着用義務はありません。コロナ前に比べると入場者は減っているようで、予約なしでも入れます。久しぶりの博物館は、いつもの日常が戻って来たようでうれしく思いました。

室内いっぱいの「モナリザ」は圧巻室内いっぱいの「モナリザ」は圧巻

10月25日までの「レオナルドの世界 ダ・ヴィンチ・デジタル」はコンピューター技術を駆使して、ダ・ヴィンチの生い立ちや作品を紹介しています。イタリアの風景も映像で楽しめるほか、コンピューターで再現されたダ・ヴィンチが自ら作品について解説してくれるコーナーもありました。

特筆すべきは、 四方の壁と床に作品を映写している広い展示室。音楽と共にさまざまな作品が映し出され、まるで物語を見ているかのようです。絵画がアップで現れるので、細かいところまで観察できるのがデジタルならでは。ダ・ヴィンチは「モナリザ」や「最後の晩餐」などの絵画で有名ですが、飛行機や戦闘道具も設計したり、鏡文字などを使った暗号のような文字を書いたりしていたとか。それらのスケッチと、それをもとにCGで機械や戦車の動きなども再現されていて、現代だからこそ可能な見せ方だと感じました。

自由の女神や有名絵画も全てアヒルに自由の女神や有名絵画も全てアヒルに

もう一つの「ダックオメンタ 世界アヒルミュージアム」は、来年4月11日まで。「実は地球には人間だけでなく、アヒルの文明もあった」という設定のもと、300点以上の世界遺産や名画、銅像などがアヒル文明バージョンで展示されています。ツタンカーメンやミイラなどをはじめ、ダ・ヴィンチの「モナリザ」やマネの「草上の昼食」、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」など。なんと日本の浮世絵「富嶽三十六景」やアンディ・ウォーホルの「マリリン・モンロー」までアヒルで再現されており、こだわりように感心しました。

「ダックオメンタ」は、ベルリンの芸術家グループ「インターダック」が始めたプロジェクト。その名称も、カッセルで5年に一度開かれる芸術祭「ドクメンタ」にかけたもので、それぞれの作品にも趣向を凝らしたアヒルらしい名前が付けられています。ドイツ語が分かる方は、作品と合わせてタイトルにも注目してみると、より展覧会を楽しめるかもしれません。

日本の浮世絵も題材になっていました日本の浮世絵も題材になっていました

ニーダーザクセン州立博物館:www.landesmuseum-hannover.de

田口理穂(たぐち・りほ)
日本で新聞記者を経て1996年よりハノーファー在住。ジャーナリスト、法廷通訳・翻訳士。著書に『なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか』『市民がつくった電力会社: ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命』、共著に『お手本の国」のウソ』(新潮新書)、『コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿』(光文社新書)など。
 
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