ジャパンダイジェスト

自然の中で不思議体験ができる 「魔法の森」と「感覚の公園」

やっと暖かくなり、外で過ごすのが気持ちいい季節となりました。そんななか、有名どころではないけれど、出かけてみると楽しい場所を二つご紹介します。

「魔法の森」(Zauberwald)は、ハノーファー市庁舎南のマッシュ湖のそばの一角にあります。アフリカ風のお面や「見ざる聞かざる言わざる」のサルたち、フラミンゴ、さらに炎や海底の様子など、さまざまなアート作品が木々の間から見え隠れしています。

インターネット上にはあまり情報が出ていないのですが、ロシア系の芸術家2人が作っている作品だそうです。市有地だと市に取り壊される恐れがあるため、地元の電力会社が所有する森の一部を借りて展示場としているのだとか。

個性的な作品が並ぶ「魔法の森」個性的な作品が並ぶ「魔法の森」

魔法の森は完成しておらず、まだまだ発展中。来るたびに新しい作品があり、刺激的です。テーマもいろいろで、「恋人同士のハートと脳みそ」や「追いかける人」など、物語性があります。屋外にあるので、コロナ禍でも楽しめるところがうれしいですね。自然の中にぽっかり出現した不思議な空間が、散歩に彩りを与えてくれます。

もう一つは、ハノーファーの隣町ラーツェンに位置する「感覚の公園」(Park der Sinne)です。7ヘクタールという広大な敷地には芝生が広がり、池や「香りのガーデン」の合間に、触覚、嗅覚、視覚、聴覚、味覚の五感をテーマとしたオブジェやステーションが合わせて30もあります。

例えば、水の入った直径2メートルほどの平たい金属のオブジェ。これを叩くと、振動を受けて水面が不思議な模様をつくり、聴覚と視覚を楽しませてくれます。また、水色と青の円のオブジェは、手でぐるぐる回すと、さまざまな色が見えてくる仕掛け。ほかにも、大きなパラボラアンテナのようなところでは、小声で話をすると遠くにあるもう片方のアンテナのところで聞き取ることができます。芸術作品である大きな椅子とテーブルには魚やパンのオブジェが置かれ、味覚を象徴しているのだとか。「石の道」はレンガや岩、砂利、木片でできており、裸足で歩くと感覚が研ぎ澄まされます。植物でできた迷路や、日時計もあるほか、300人が座れる石段(観客席)を備えた舞台もありました。

水門やミニ水車の付いた水遊び場水門やミニ水車の付いた水遊び場

この公園はもともと2000年の世界万国博覧会をきっかけに造られ、随時新しい展示が増えるなど整備されてきました。ホームページに「空気、水、火、土の四元素を感じることができる」と記されている通り、散策しながら自然を満喫できます。大人はゆっくり色とりどりの花を楽しみ、子どもは水遊びができるなど、全ての年代の人たちの憩いの場となっていました。

魔法の森:www.hannover-entdecken.de/zauberwald-hannover
五感の公園:www.laatzen.de/de/park-der-sinne.html

田口理穂(たぐち・りほ)
日本で新聞記者を経て1996年よりハノーファー在住。ジャーナリスト、法廷通訳・翻訳士。著書に『なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか』『市民がつくった電力会社: ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命』、共著に『お手本の国」のウソ』(新潮新書)、『コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿』(光文社新書)など。
 
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