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気候保護のためにできること

10月1、2日の両日、自治体気候活動国際会議(ICCA 2015)がハノーファーのヘレンハウゼン城で開かれました。世界各国から自治体や環境団体などの関係者が参加し、いかにして気候保護を進めていくかが話し合われました。

専門家による講演をはじめ、各都市の気候保護担当者による発表があったほか、環境団体の展示や、「気候保護自治体」に選ばれた都市の取り組みが披露されました。啓蒙活動から実践まで、自治体の地道な努力が大事であることを実感しました。様々なワークショップも行われ、中高生や一般人も参加しました。連邦食糧・農業相のバーバラ・ヘンドリックとニーダーザクセン州環境相のシュテファン・ベンツェルも訪れ、気候保護のためにできることについて、高校生と議論しました。

気候保護について
気候保護について様々な取り組みを発表

会場にはパリのエッフェル塔の模型が設置され、参加者は自由に気候保護についての意見を紙に書き、塔につるしていきました。「原発はいらない。もっと再生可能エネルギーを増やそう」「この大地に、ずっと住み続けられますように」「貧しい国の人たちがこれ以上苦しまないよう、フェアトレードに投資しよう。ビニール袋の製造をやめよう」などの言葉が見られ、これらは12月にパリで開かれる気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)に、ハノーファーからのメッセージとして届けられます。

エッフェル塔の模型
メッセージがつるされたエッフェル塔の模型

私は「食料と気候保護」をテーマにしたワークショップに参加しました。フランクフルト市によるベジタリアンの催しや、地元産の食料を1年間集め、それを5日間のお祭りで食べ尽くすという芸術家のプロジェクトが紹介されました。「料理で世界を良くしよう」というモットーを掲げて活動する料理家ワム・カット(Wam Kat)の話は、特に刺激的でした。

ワム・カットは、「食べ物を無駄にすることは、食料そのものを捨てるだけではなく、栽培や輸送にかけられたエネルギーをも捨てること。食べ物の遺棄をやめれば、原発2基は止められる」と言います。また、「子どもたちと収穫済みの畑に出掛け、落ちている野菜を拾って料理すると、曲がったニンジンも小さい玉ねぎも美味しいことに皆びっくりする」と話し、「安いからといって、悪いものを食べさせてはいけない」と有機農法を奨励しています。スローフードのイベントでは1万人にスープを作って提供するなど、積極的に活動しています。

この催しで、気候保護のためにできることは身近にあり、しかも楽しみながらできるのだということが分かりました。1人ひとりが、できることから始めれば良いのですね。

田口理穂(たぐち・りほ)
日本で新聞記者を経て1996年よりハノーファー在住。社会学修士。ジャーナリスト、裁判所認定ドイツ語通訳・翻訳士。著書に『市民がつくった電力会社: ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命』(大月書店)、共著に「お手本の国」のウソ(新潮新書) など。
 
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