ブレーメン駅前にある海外博物館で、日本祭りが開かれました。来年5月まで開かれている特別展「クールジャパン」にちなんだもので、剣道や合気道、折り紙、風呂敷、茶道などさまざまな日本文化が披露され、1500人が訪れました。
同博物館はアジアやアフリカなど海外からの展示物が充実していることで知られ、茶室や日本庭園もあります。会場に入ると大きな鯉のぼりがはためき、圧巻です。この日は日本祭りとあって、たくさんの日本人がいて、まるで日本のよう。多くの人が見守る中、お点前を披露した林真利子さんは「日本への興味のある人が多く、家族的な雰囲気で良かった」と話し、丁寧にお茶を立てていました。
お酒や日本食が味わえるブースのほか、財布やコースターなど和の雑貨、着物やお箸、茶碗など伝統的なものまでさまざまなものが販売されていました。鎧を着たドイツ人もおり、日本文化のファンやコレクターの層の厚さを感じました。日本語講座や料理教室も人気だったほか、江戸時代や祭りなど日本をテーマにした講演もありました。
お茶室の前で茶道
刺青ショーでは、5年前からブレーメン在住の彫り師・雪子鬼(せずき)さんが、刺青について説明しました。腕や背中、足に見事な刺青を入れた12人のモデルがずらりと並び、迫力満点でした。獅子やハスの花など日本特有のモチーフの意味や、年を取った時のために柄に隙間を空けておくことなど、知らないことばかり。刺青の奥深さを感じながら、多くの人が興味深く聴き入りました。ドイツでは18歳以上なら刺青ができ、気軽に入れる人が多いのですが、日本では公衆浴場に入るのを断られることがあるときいて驚く声があがっていました。
刺青について説明する雪子鬼さんとモデル達
クールジャパンの展示は上階にあり、江戸時代(1600〜1868年)から現代までの庶民文化が垣間見れます。昔の土間と現代の台所をはじめ、江戸時代の着物と最近のコスプレなど、伝統とモダンが混在しており、多角的に日本の魅力を知ることができます。ラーメン屋や盆踊りのやぐらもありました。日本のものを見るのは懐かしく、かつ新しい流行を知ることができ、日本人にとっても楽しい展示です。ちょうど今学期、ライプニッツ・ハノーファー大学でゼミナール「日本の宗教」があり、社会見学として学期末に同博物館に見学に来るそうです。充実した展示で、日本に興味があるすべての人におすすめです。
ブレーメン海外博物館の特別展「クールジャパン」は、2018年5月1日まで開催中: www.uebersee-museum.de
日本で新聞記者を経て1996年よりハノーファー在住。社会学修士。ジャーナリスト、裁判所認定ドイツ語通訳・翻訳士。著書に『市民がつくった電力会社: ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命』(大月書店)、共著に「お手本の国」のウソ(新潮新書) など。